今年の4月から始まる電力自由化。色々なメディアの媒体で、「これからは選ぶ時代!」という感じで、毎日引っ切り無しに宣伝されています。
「自分に合った電力供給を自分で選べる」、素敵に聞こえますが、既に電力自由化のなされた海外での例を見ると、実は問題点がちらほら。
今回は、話題の電力自由化の問題点について御紹介します。
今ままでは、一つの地方には一つの大きな電力会社からの電力が供給されていたのですが、電力自由化がなされると、新規事業者の介入によって、それまでの均衡していた供給バランスが崩れることになります。
「崩れる」と言ってしまいましたが、恐らく新規事業者たちの勢力が入り込むという表現の方が好ましいかもしれませんね。
ともかく、それまでの供給形態とは変わるわけです。
「なんだ、別に色んな供給先が増えて良いじゃないか」と思うかもしれません。
が、緊急事態での対応力が問題点と見なされています。3.11東北大震災の時に、電力供給がすぐには復帰しなかったですよね。
想定外のトラブルが起きた時に、今までの地方一帯型のネットワークが強い一つの電力会社であれば、被害のない地域から電力を引くことが出来たのですが、もしその地域の中で違う電力が敷かれていれば、迅速なトラブル対処を行なうことが出来なくなってしまいます。
電力自由化がなされていなかったあの時でも困難を期したので、自由化した後はどうなるのか心配ですよね。
電気が備蓄できないものであることも、電力自由化においての問題点です。
予見しえないトラブルのために、蓄えておくことが出来ないからです。
災害が起きずとも、その非備蓄性ゆえに、カリフォルニアでの輪番停電や、ニューヨークでの大停電が起きてしまいました。
発電設備の質や、技術力が全く異なる電力企業同士が、電力自由化によって電力市場に並ぶことも懸念されています。
日本でも海外同様、様々な企業が、新しく電力市場に入ろうとするのは良いのですが、そのことによって供給問題が起きてしまうのであれば、これは大きな問題点だと言えます。
電力自由化による事業者の多様化は、私たちにとっての選択の多様化を意味しますが、同時に問題点の多様化をも意味してしまうかもしれませんね。