第2回:料金はどう変わる?電力自由化の全容を解説【全5回】
電気料金の仕組みがわかれば、電気料金がどう変わるのか、なぜそのようなるのかをしっかりと理解できるようになります。
電気料金の仕組みとは?
基本的に一般家庭向けのプランでは、「基本料金」+「電力量料金単価×1ヶ月の使用量」+「燃料費調整単価×1ヶ月の使用量」+「再エネ発電賦課金」の合計が電気料金になります。
基本料金は、各家庭が契約したアンペアごとに設定されている料金のことです。
10アンペアから60アンペアの範囲で設定されていることが多いです。
電力量料金単価とは、各会社が設けている1kWhあたりにかかる料金のことです。
電力量料金単価が1kWhあたり20円で、1ヶ月に100kWh使用したとすると、20×100=2,000円ということになります。
燃料費調整単価とは、原油・LNG・石炭などの火力発電に用いられる燃料の3ヶ月間の貿易統計価格にもとづいて、算定された料金のことを言います。
燃料調整単価はプラスになることもあれば、マイナスになることもあり、マイナスの場合は、毎月の電気料金から少し割り引かれます。
再エネ発電賦課金とは、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価という再生可能エネルギーの買い取りにかかる費用の1部を消費者が負担するものです。
以前は太陽光発電促進付加金単価として、電気料金から徴収されていました。
設定された単価×1ヶ月の使用量で算出されます。
これらの料金に加えて、口座振替割引のように口座から引き落とし設定している方が利用できる割引制度もあります。
毎月の電気料金を見てみると、どこで一番負担が大きいかというと、比較的単価が高く設定されていて1ヶ月あたりの使用量によって変わる「電力料金単価」のところです。
電力量料金単価は電力会社ごとに設定されているため、安いところは安く、高いところは高いです。
つまり、単価を比較的安く設定している電力会社を契約すれば、電気料金を抑えられるということですね。
電気料金は安くできる
一般家庭では2016年4月に電力自由化が始まるまで、エリア内の電力会社しか契約できませんでした。
そのため、各地域で電力を供給する北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力のいずれかのプランを選択し、電気代を支払っていました。
電力自由化が始まって以降は、今までの地域の電力会社だけではなく、PPSをはじめとするさまざまな会社の電気料金プランを比較し、選択できるようになりました。
電力会社大手10社も、地域の枠組みを超えて、全国各地にサービスを提供を始めています。
先ほどは電気料金の仕組みを見ましたが、電気料金を安くするのに大切なのは、電力量単価を抑えることです。
なるべく電力量料金単価が比較的低い電力会社を選ぶようにすると節約につながりますね。
以前のように地域の電力会社しか契約できないと、その会社の料金体系に依存することしかできませんよね。
例えば、日中仕事で家を不在にしている方で、夜中に多くの電力を使用する方がいるとします。
その方が契約している会社のプランに夜中の電気料金が安くなるプランがなかったらどうしましょう。
電気料金が割高になったり、節約しようにも節約できなかったりしますね。
しかし、2016年4月以降は、電力自由化のおかげで、電力会社のプランを比較しながら自由に選べるようになったので、夜中の電気料金が割安なプランを契約することも可能です。
電気料金プランが多様化したことにより、自分のライフスタイルに合わせて、電気料金を比較的安くできるようになったのです。
電気料金プランはどうやって契約するの?
電力自由化後に参入した新電力会社には、電力会社もあれば、ガス会社や家電量販店などさまざまな業界の会社があり、基本的に電気料金プランの変更は、各会社が行ってくれます。
まず、消費者が契約したいと考えている会社に窓口や電話、ホームページなどから契約の申込みをします。
そうすると、場合によっては切り替え先の電力会社が、現在の電力会社に解約手続きをすることがあります。
契約の申込みをするだけで、電力会社を乗り換えられるので、煩瑣な手続きが要らなくなりますね。
マンションにお住まいの場合は、マンションが一括で契約を管理していることもあり、契約が制限されることもあります。
自分が住んでいるところはどうなっているのか、変更前に確認するようにしましょう。
また、電力会社を変更した時に必要となることが多いのが、スマートメーターの設置です。
スマートメーターは、電力自由化後に導入が進められている機器で、毎月の電力の使用量を計算してくれます。
設置すると検針が不要になるため、電力会社にとってもメリットがあります。
自動検針の他に、契約アンペアを変更するときの遠隔操作が可能になったり、停電から復旧させるときの時間を短縮できたりと、良いこと尽くしです。
電力会社を変えるときは、スマートメーターを設置するようにしましょう。