第1回:最初は概要から解説!|電力自由化の全貌を解説【全5回】

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第1回:まずは概要を知ろう!電力自由化の全容を解説【全5回】

2016年4月に一般家庭向けに始まった電力自由化ですが、電力自由化という言葉を知っていても、実際はどのようなものなのか知らない方も多いのではないでしょうか。

今回は電力自由化に焦点を当て、その全貌に迫るべく、詳しく調べてみました。

電力自由化で変わる電気料金について、新しいサービスのあり方、環境問題など、さまざまな視点から見ていきましょう。

電力自由化って何?

今話題の電力自由化ですが、電力自由化とは一体何なのでしょうか?

詳しく知らない方も多いと思います。

そこで今回は、電力自由化について調べてみました。その全貌をこれから見ていきましょう。

電力自由化の基本概要

最初に電力自由化が始まったのは、1995年です。

それまでは一般電気事業者である、北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の10社のみが電力の供給を行っていましたが、1995年に電気事業法が改正されると、独立系発電事業者(IPS:Independent Power Producers)も電力を供給することが可能になりました。

その4年後の1999年には、再度電気事業法が改正され、小売業も自由化されました。

しかし、この時自由化されたのは、一般家庭と比較しても多くの電力を使う工場やデパートなどの特別高圧を利用する事業所向けの小売業だけでした。

この1999年の電気事業法改正により現れたのが、PPSと呼ばれる特定規模電気事業者です。

PPSの出現により、電力事業のビジネス化が始まりました。

2003年の電気事業法改正では、今度は高圧電力を利用する事業所向けの小売業が自由化になりました。

高圧電力を利用するのは主にスーパーやオフィスビルなどです。

2003年の法改正により、日本の電力販売量における半数以上が自由化されたことになります。

この時点でもまだ一般家庭向けには電力自由化が始まっていません。

一般家庭向けに電力自由化が始まった契機となることが起こります。

それが2011年の東日本大震災です。2011年3月11日に起きた東日本大震災では、津波により福島第一原子力発電所の事故が発生しました。

原発事故によって日本全体で電力のあり方を見直すことになり、2013年に電気事業制度の改革が閣議決定されました。

以後は段階的に改革が進められ、2016年4月に全面的な電力自由化が開始。

一般家庭が自由に各電力会社を比較しながら電気を選べる時代になりました。

諸外国での実施状況

日本での電力自由化の始まりは、1995年ですが、諸外国でも同様に電力自由化が行われています。

諸外国の電力自由化について見ていきましょう。ドイツでは1998年に電力自由化が始まりました。

電力自由化に伴い、小売部門が全面的に自由化され、1,000以上の電力会社が参入しました。

現在では、多くの電力会社が撤退し、既存の電力会社が大きなシェアを誇っています。

フランスでは、2000年に1部電力自由化が始まりました。

最初は、小売の部分的な自由化や許可制導入された発電部門、送電部門の機能分離のみでしたが、2007年の7月から全面的な電力自由化が実施されました。

アメリカでは1990年代から電力自由化が進められています。

小売市場の自由化については、各州に委ねられているため、2011年までで15の州が電力自由化を実施しています。

カリフォルニアで電力危機があって以降は、自由化の動きが鈍くなりました。

電力供給の仕組みはどうなってるの?

電力自由化が始まった背景を見てきましたが、電力供給の仕組みも変わったのではないかと疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか。

電力供給のあり方についても調べてみました。

電気事業制度が変わっても、電力供給は変わっていません。まず、電力は発電所で作られます。

発電方法は水力発電・火力発電・原子力発電・風力発電太陽光発電・地熱発電などいくつかあり、日本の各地にその拠点が設置されています。

それぞれの発電所で作られた電力は、送電線を伝わり、変電所に送られます。

送電線は地上から地中まで至るところに張り巡らされています。変電所に送られた電力は、配電線を伝わり、いよいよ各家庭や事業所に運ばれていきます。

送電線や配電線は、電力を発電所から消費者に繋げるための重要な役割を担っており、安定供給するために東京電力や関西電力などの各地域の電力会社が担当しています。

電力自由化により小売が自由にできるようになったため、PPSを始めとする各電力会社は、送配電のネットワークを用いて電力を調達します。

送配電システムは変わらないので、どの電力会社であっても安心安全の電力を供給することが可能です。

もしも新電力会社がトラブルなどが起きて、消費者のもとに届けられるだけの十分な電力を確保できなかったときは、既存の電力会社が不足分を補うことになっています。

そのため、より一層安心して新電力会社の電力を使用することができます。

2016.09.29
全5回連載の第2回目です!電力自由化について、電気料金のことから環境問題に至るまで、さまざまな視点から解説してみました。電力自由化における料金の変化を見ていきます。

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専属ライター/実は機械音痴
「ライターたるものPCと仲良く出来ずにどうする!」と自分に言い聞かせながら仕事しています。
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