ソフトバンクでんきのクリーンエネルギー施策を追う!
携帯会社でおなじみのソフトバンクが、2016年4月の電力自由化で電力小売事業に参入するにあたって設立したのがソフトバンクでんきです。
ソフトバンクでんきでは、クリーンエネルギー由来の電源が選べるFITでんきプラン(再生可能エネルギー)の導入など、再生可能エネルギーの普及に力を入れています。
その取り組みについて見ていきましょう。
■再生可能エネルギープランが選べる
2016年10月現在のFITでんきプランの電源構成は、電気が57%、日本卸電力取引所が24%、その他が14%、リサイクル発電が5%です。
太陽光などの再生可能エネルギーで発電されたFIT電気を約60%使用しており、消費者がクリーンエネルギー由来の電源を選べるまだ数少ないプランの中のひとつです。
2013年度の再生可能エネルギー比率は11%ですが、2030年までに22〜24%に引き上げるという政府の目標があります。
ソフトバンクでんきの取り組みはこの方針に大きく貢献するものであり、今後のさらなる普及と拡大を目指しています。
●FIT電気とは
FIT電気とは、固定価格買取制度(FIT)による交付金を受けた電気のこと。
クリーンエネルギーの普及のため、2012年から始まった制度です。
その背景には、2011年の東日本大震災をきっかけに、原発に変わるエネルギーの確保が強く求められるようになったことが挙げられます。
しかし、再生可能エネルギーの導入にはコストがかかります。
そこでわたしたち消費者で分担してお金を負担しようというのがFIT制度です。
毎月の電気料金の中にしっかりと「再生エネルギー賦課金」という項目があり、何も知らずに毎月お金を払っていても、クリーンエネルギーの普及に貢献していることになります。
●画期的なリサイクル発電
ソフトバンクでんきが行っている画期的な方法に、リサイクル発電があります。
これは家庭ごみや産業廃棄物を発電に利用するというもの。
北海道でプラスチック燃料発電を行っている、サニックスエナジーと共同で行われています。
リサイクルすることで省資源になり、無駄のない発電方法として注目されています。
■ソフトバンクエナジーの取り組み
自然エネルギーの普及のため2011年に設立され、全国で大規模な太陽光発電所(ソーラーパーク)を建設し、運転を行っています。
さまざまな自然エネルギーの中でも、特に早期建設が可能な太陽光発電に目を向けた取り組みは、全国的にも先駆けの存在と言えるでしょう。
島根県に建設された風力発電所「ウインドファーム浜田」をはじめ、今後は地熱・水力・バイオマス発電の分野にも注力していく予定です。
●太陽光発電データを一般公開
ソフトバンクエナジーでは北海道の帯広・苫小牧に発電試験場を設置し、国内外の10社のパネルを並べて4年間の実験を行いました。
それぞれの太陽光パネルの発電特性や、積雪対策などの研究のためです。
そのデータはホームページでも一般公開されており、メーカーによって1ケ月当たり3~5%の発電量の差があることがわかります。
これをきっかけに、太陽光発電について一般家庭や企業に興味をもってもらい普及につなげたいという狙いがあるのです。
●モンゴルでも風力発電事業を展開
ソフトバンクエナジーでは、世界規模でのクリーンエネルギーの普及を目指しています。
モンゴル・南ゴビ砂漠に22万ヘクタールの土地を買い、世界最大規模の風力発電所を建設する計画です。
合計で700万kWの発電量を見込んで事業化への検討が進められており、まずは2018年1月に30万kW規模の風力発電所が稼働予定となっています。
■海外でも電気をつなぐ仕組み作り
インドでは慢性的な電力不足に悩んでおり、2022年までに100GWの太陽光発電導入を目指す取り組みを発表しました。
ソフトバンクグループはアンドラ・プラデーシュ州で35万kWの太陽光発電事業を落札、建設を進めており、インドの電力不足の解消に貢献しています。
さらに中国・韓国・ロシアの大手電力会社と手を結び、アジア各国をつなぐ送電網をつくる取り組みをはじめています。
再生可能エネルギーの気象条件や地域性に左右されやすいという点を補うべく、各国の再生可能エネルギーの発電所からの電気を送電網でつないで安定させるという方法です。
時差や天候の差を利用することで、より無駄のない使い方ができるという狙いがあります。
■世界進出も見据えた大規模な取り組みに注目
消費者にとってクリーンエネルギーで発電した電気が選べるというのは大きな魅力。
今後も国内外でさらに大規模な発電所建設計画が進んでおり、クリーンエネルギーへの取り組みの先駆けとして目が離せませんね。