中国電力が鳴らした電力自由化への号砲とは?!
電力自由化に向け、中国電力が西日本全域で電力を販売・・というニュースが以前新聞に掲載されました。
中国電力は2016年に電力自由化が行われるのに合わせ、通常のキャンペーンはもとより、自社の余剰電力を、送電線網を使って隣り合った関西電力や四国電力、九州電力などの管内にある家庭向けに販売することを決めたのです。
このことは、長い間慎重な姿勢を続けてきた大手電力会社間の競争が本格的に始まったという号砲だととらえられました。
○電力自由化とは?
この電力によって、家の中で冷蔵庫やテレビ、冷暖房や炊飯器、パソコンなどといったあらゆる電気機器を動かすことができます。
電力の仕組みは、全国10か所にある一般電気事業者が発電から送電事業を行っており、中国電力や東京電力などの大手電力会社など、地方ごとに管轄が決められていました。
この電力は国民の生活において大切なインフラ基盤として、それを扱える業者は国が認めたものだけという公的機関と同様の扱いがずっとなされてきたのです。
●2016年より電力自由化開始
20年以上もかけ審議された結果、2016年4月に一般家庭や小規模店舗向けの電力自由化が解禁されることとなり、2016年は電力自由化元年とも言われるほど、規制緩和が盛り上がり、さまざまなキャンペーンなどが行われてきました。
つまり、電力自由化とは、自由に電力が提供できる会社を選べることや、さまざまなキャンペーンや競争などによって電気料金を安くできるため、一般の消費者に恩恵があることなどの意味合いがあります。
2016年より、停電時や電力会社が倒産した時などのリスクも検討されていますが、審査や法律によって参入できる企業を選ぶしっかりとしたシステムを作り上げる家庭において、国や中国電力をはじめとする企業もかなり力を入れてきました。
◯中国電力の新しい動き
このインパクトある構想は子会社が地域外で調達し、地域外の顧客に供給するのと比較して格段に大きなことです。
子会社をと通して調達することが部分的な代理競争とすると、このことは電力会社を再編することにもつながりかねません。
一番違う点は規模でしょう。東京電力の子会社が地域外で販売しているものは、出力2万キロワットだったのに対し、電力自由化が始まった時点で中国電力が地域外に供給可能な余剰電力の規模は地域内の需要の1割程度に相当する、100キロワットに達したそうです。
これはまさに原発一基分の規模に相当するというから驚きです。
このことは、東京電力が2013年に発表した、新・総合特別計画で掲げた子会社を通じて10年後までをめどに確保することを目指す地域外供給力の目標値に匹敵すると言われています。電力自由化の影響は、キャンペーンだけではない大きなものなのです。
●電力自由化までは暗黙のルールが
電力会社が地域外へ直接供給することは、電力自由化以前にも制度上で認められてきました。
電力自由化が進展すると新しい電力がどれだけ伸びたかがバロメーターとして指摘されますが、部分自由化が始まった頃は、政府が期待したのはむしろ大きな余剰電力を持つ会社同市のエリアを超越した競争だったのです。
ですが、2000年から段階的に開始された部分自由化により、現在まで電力会社自体が自社エリア以外の家庭に直接電力供給を行ったのは九州電力しかありませんでした。
それ以降は、地域を超えお互いの顧客を奪い合うという地域間の競争は自粛ムードが電力会社の間で暗黙のルールとなっていたのです。
○電力自由化後の新しい動き
とある研究所の調査結果によりますと、政府が推進する電力システム改革のポイントとは、まず垂直一貫体制を見直し、電力事業を発電、小売り、送配電に再編することだそうです。
さらに、一般電気事業者の地域独占状態を改め、小売りと発電を全面自由化すること、また、総括原価方式によってこれまでの電力会社のビジネスモデルをやめ、送配電事業者以外の全事業者が対等に競争できる環境を確保する・・という3点となっています。
2016年に電力が完全に自由化された後、制度的にはこれまでの一般電気事業者や、特定規模電気事業者という区別がなくなっており、どの発電事業者も小売事業者は対等な条件で競争することとなりました。
今まで、大手電力会社のマーケット支配力の前に思ったようにシェアが伸ばせなかった新電力の新規参入組ですが、電力自由化後はどういったキャンペーンや展開を行っていくのかが見ものです。
●新規参入会社は苦戦する可能性も?
原発の再稼働が進んだり、大手電力会社の価格競争緑やマーケット支配力が回復してきたりということがあると新規参入企業が苦戦するのは間違いなさそうです。
今までの大手電力会社対新電力会社という構図に、大手電力会社同士の競争や、あらゆる業種からの新規参入・・といった要素が増える中で、電力市場やビジネスはいかに進展していくのでしょうか。
中国電力を含めたそれぞれの事業者は電力自由化された今、水面下でいかに勝負に勝てるか戦力を練っているに違いありません。