電力自由化の導入で注意したいトラブルの例とその対処法
電力自由化が始まってから数か月になり、東京電力エリアと関西電力エリアを中心に、利用者数が確実に広がりを見せています。一方で、新しい電力会社への切り替えに伴うトラブルの例も数多く報告されています。
では、電力自由化で注意すべきどんなトラブルがあるのでしょうか。また、問題を未然に防ぐためにどんな対処法があるのでしょうか。今回は、電力自由化で特に注意したいトラブルと対処法について解説していきます。
電力自由化に伴う訪問販売、便乗商法、詐欺トラブルと対処法
■訪問販売や便乗商法のトラブルと対処法
訪問販売や電話勧誘販売で、「新電力に変えれば電気代が安くなります」「太陽光パネルで売電すれば儲かります」などと言って契約をさせる便乗商法が増えています。消費者の電気代を少しでも安くしたいという気持ちを利用して、電力会社側はお得なプランを勧めてきます。
携帯電話やガス、インターネット回線などとセットでの契約プランには契約期間があって問題になることがあります。セールスマンが来たら冷静に判断する時間を持ち、家庭の状況に合っているか、セットで契約するのがお得かどうかをしっかりと見極めましょう。
突然の訪問販売や長時間のセールストークで誤って契約してしまった場合は、クーリング・オフで解約できます。
■詐欺商法のトラブルと対処法
電力自由化に伴い悪質事業者によるウソの勧誘や特殊詐欺などの被害が発生しています。消費者庁でも、電力自由化に便乗した機器等の勧誘に注意が喚起されています。「ブレーカーやメーターの交換が必要です」「新しい機器の取り付けで工事費が必要です」などと言われたら、電力自由化詐欺の可能性があります。
電力自由化が導入されても、ブレーカーやメーターなどの機器は交換する必要はありません。スマートメーターというデジタル式の次世代型電力量計の取り付けは基本的に無料ですから、料金を請求されたら詐欺の可能性があります。
詐欺商法のトラブルに巻き込まれたら、相談窓口や消費者ホットラインに相談しましょう。
新電力会社から電気料金の請求が来ない遅延トラブルと対処法
■新電力に変えたら電気料金の請求が来ない遅延トラブル
新電力会社と契約をした途端に、電気料金の請求が来ない遅延が発生しています。これは東京電力パワーグリッドのシステムトラブルにより、電気使用量のデータが新電力に届かないことが原因でした。
誤請求や通知の遅延が発生し、電気代の変化を心待ちにしていた消費者に不安を与えました。電力会社も電気料金が請求できないため、収入が入ってこない事態が起こりました。他にも、契約先が切り替わっていない、検針票の発行が有料になって納得がいかないなどの問題が、消費生活センターに報告されています。
新電力に分割支払の相談をしたいと思っても、電話窓口が繋がりにくく、相談に応じてもらえない問題も起きました。
■電気料金請求の遅延トラブルの対処法
新電力と契約した途端に電気料金の請求が遅延した場合、どんな対処法があるのでしょうか。電気料金の請求が遅延しても、いつかはまとめて電気代を支払う必要がありますから、電気料金の請求が来た時に備えておくことが必要です。
電気の使用量が確認できる「見える化」サービスが提供されているなら、使用電力量データを自分で調べてみましょう。それぞれの地域や電力会社により設定された単価をかければ、大まかな金額を計算することができます。
今回の遅延で発生した損害金を東京電力パワーグリッドに補償請求することも検討されていて、遅延に伴う人件費を誰が負担するのか、電気代に転嫁されていないかを見守る必要があります。
電力自由化に伴う滞納、解約、地域格差、停電に関するトラブル
■解約、滞納、引越しに関するトラブル
契約期間満了前に解約する際に、違約金が発生するトラブルが発生しています。違約金は2000円から20000円などですが、セットの割引率の高いキャッシュバックがあるプランの場合は、解約金を払ってもお得になります。
携帯電話やインターネット回線などのセット契約で、料金の支払いを滞納すると、滞納利息や違約金が発生する可能性や、携帯と電気料金の両方が解約となるトラブルも起きています。料金の払い忘れを防ぐために、口座振替やクレジットカードでの支払いにするのがお勧めです。
引越ししたエリアで電力会社がサービスを提供していない場合、解約の違約金はかからず、サービスが提供されているなら継続して利用できる仕組みになっています。
■地域格差、倒産、停電のトラブル
地方やエリアによっては電力会社の選択肢が少なく今までとサービスも料金も変わらない、お得感がないと感じている方も多くいます。電力会社が倒産してしまった場合、消費者保護のセーフティーネットが用意されていて、自動的に他の送配電会社のプランに切り替わるようになっています。
自然災害で停電した場合には、エリアの送配電会社や契約した電力会社に問い合わせることができます。スマートメーターが取り付けられていれば、停電を検知して自動的に電気を復旧させる機能もあります。電力自由化を浸透させるためには、トラブルや不具合に適切に対応して、消費者の信頼を確保することが今後も非常に重要になっています。