【電力自由化ニュース】楽天株式会社が「まちでんきの駆けつけサービス」を開始
楽天株式会社(以下、楽天)が提供する電気小売サービス「まちでんき」は、大手ネット通販会社でもある楽天が電力自由化を受けて電気小売に参入したとして、電力自由化が始まる前から大きな話題となっていました。
ネット通販「楽天市場」をはじめ、クレジットカードなど幅広い事業を展開する楽天が電気小売に参入することにより、色々と便利なサービスとの提携が始まって、電力自由化の目的である電気小売市場の多角化と活性化が期待されています。
そんな中、楽天は10月3日に送配電事業を行う東京電力パワーグリッド(以下、東京電力PG)との提携を発表し、ニュースになりました。
では、その内容とはどのようなものなのでしょうか。
まちでんきの駆けつけサービスとは?
楽天は、電力自由化で電気小売に参入してから、様々な電気料金プランを打ち出し、またサービス面でもこれまでの電力自由化前の電力会社にはなかった画期的なサービスを模索し、提供しています。
そんな中、10月3日にホームページ上で発表されたニュースは送配電事業会社である東京電力PGとの業務提携を行いまちでんきの駆けつけサービスという新規サービスを開始するという内容のものでした。
では、まちでんきの駆けつけサービスとはどのようなサービスなのでしょうか。
サービス内容
ではまずサービス内容についてご説明します。
まちでんきの駆けつけサービスとは、簡単に言えば「電力の供給設備に関するトラブルは、無償で対応、修理してくれる」というものです。
通常、そういったトラブルに対しては電気工事店や一般送配電事業者が一万円程度で修理を行いますが、サービスに加入していれば無償での修理を受けられます。
対応している時間は365日24時間なので、いつでも東京電力PGの担当者が駆けつけてくれます。
対象エリア
本サービスの対象となるエリアは、東京電力が管轄する関東エリアのみとなっています。
具体的には、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、静岡県(富士川以東)となります。
各離島はエリア外の扱いになります。
対象プラン
まちでんきの駆けつけサービスは、関東エリアにお住まいの方なら誰でも利用できるわけではなく、ある特定の電気料金プランに加入している方のみのサービスになっています。
特定のプランとは「スタンダードプラン」ですと「60A」、または小さな事務所など向けの「プレミアムプラン」になります。
つまり、一人暮らしの方などで、アンペア数が比較的低い方は対象にならないということです。
設備不良における停電の頻度はどれくらいか
電気設備の不良により、停電が起きてしまった場合に担当者がすぐに駆けつけてくれるというのは、突然の事態に右往左往することなく連絡を入れればいいだけですから安心できますよね。
では実際に、電気供給設備の不良により停電が起きる可能性というのはどれくらいあるのでしょうか。
一軒あたりの停電回数
ではまず、東京電力が管轄している世帯で、一軒あたりにどれくらい停電が起きているのかを見ていきましょう。
東京電力ホールディングスが発表している、一年間で電気供給設備が原因で停電している回数は、最新の2015年のデータで「0.06回」です。
つまり、100軒あるうちの6軒だけが一年間のうちに停電を起こしているというわけです。
日本全国で見る停電頻度
では、日本全体で見るとどうなのでしょうか。
2014年に電気事業者連合会が調査した資料によると、日本全国で電気供給設備が原因で停電している回数は「0.16回」です。
つまり、10軒に1件ほどが一年間のうちに停電を起こしているわけです。
先ほどと比べるとやや多くなった印象は受けますが、それでもかなり頻度は低いと言えるでしょう。
まとめ
楽天が提供する電気小売事業「まちでんき」は10月3日に東京電力PGと提携することを発表し、ニュースになりました。
それを受けてまちでんきの駆けつけサービスという、電気供給設備に不具合があった場合に担当者が365日、24時間駆けつけてくれるというサービスを発表しました。
電力自由化を受けていち早く電気小売市場に参入した楽天が、東京電力の関係会社と提携をしたとして、大きなニュースになっています。
しかし私たち消費者は、このニュースについてよく考え、本当に私たちの為になり得るのかどうか判断しなければなりません。
少なくとも、東京電力ホールディングスや電気事業者連合会が発表したデータを見る限り、世帯一軒につき一年間に電気設備が原因で停電が起こる可能性はかなり低いと言っても良いでしょう。
つまり、まちでんきの駆けつけサービスがあるからといってそれだけで「まちでんき」を選択する、というのはやや早計かもしれません。
また、まちでんきの駆けつけサービスの対象となるのは使用する電気量の多いプランに限られる為、その点も勘違いしないように注意が必要です。
今回のように、電力自由化によって電気小売市場に参入した新しい電力会社がこれから新しいサービスを打ち出す可能性は大いにあります。
しかしそれが本当に自分にとってお得になるかどうかは、きちんと情報を集めて、判断していくようにしましょう。
それが、電力自由化を上手に利用するコツなのではないでしょうか。