冬は電気代を抑えるのに必死です。
好きな家電→ 加湿器と15年以上使っているDENONのコンポ
2016年4月、電力自由化により、地方自治体が出資したご当地電力が各地で登場しました。
現在、すでに10以上もの自治体が電力会社設立に参画。さらに検討を進めている自治体も増えてきています。
ですが、新電力大手の組合が3月末に電気小売り事業から撤退するなど、すでに電力自由化の競争が激化する気配も見えています。つまり、自治体がご当地電力を設立しても必ず明るい未来が待っているということでもなさそうなのです。
みやま市は現在、メガソーラーから電力を調達して学校や市役所などといった32か所の市内にある公共施設や企業などに電力を供給しています。また、2月からは家庭用電力の契約受付を開始。3年後をめどに市内にある7割の世帯、1万世帯に電力を販売することを目標に掲げています。
契約容量は60アンペアで、年間使用量は6472キロワットのモデル世帯において、九州電力のプランより4000円程度安くなる計算で、格安電力料金が売りです。また、水道料金とセットすると割引きがあったり、電気料金の支払いに応じてポイントがついたり、そのポイントを使えば市内の100もの店舗でショッピングができるなど、特典も用意されているのが魅力です。
その上、市内に整備済みの家庭向けエネルギー管理システムを使って契約者にタブレットを配布したサービスも行っており、健康チェックや高齢者の見守りなどを展開予定です。
また、タブレットからは病院やタクシーの予約まで可能にするとか。
みやま市は電力自由化で得た利益を観光業や農林業などといった地元の産業に投資予定で、記者会見の際に市長は高齢化の深刻さを訴え、電気を軸としてあらゆるサービスを提供し、地元の活性化に結び付けたいと述べています。
鳥取市では、市内でガスを供給する鳥取ガスと共同でとっとり市民電力を立ち上げました。
これは、地域で発電や小売り事業を拡大することによって、地域の経済振興や雇用拡大を行っていくのが狙いです。
泉佐野市では、民間の新電力会社とともに2015年に泉佐野電力を設立しました。他の自治体より早く小売り電気事業者の登録を行っており、地元のメガソーラーから電力を集めて公共施設に電力を供給しています。
この泉佐野電力では、将来は一般家庭向けへの電力供給も視野に入っていると述べています。
全国の自治体の中で電力会社を設立した自治体は群馬県にある中之条町です。この町は福島第一原発事故をきっかけに、電力の地産地消を推し進める案を打ち出して、2013年に中之条電力を設立。
町内で運転中のメガソーラーから電力を買い取って、学校や町役場などの公共施設に電力を供給しています。浜松市では政令指定都市で初の電力参入を行いました。全国でメガソーラーを展開中のNTTファシリティズなどの企業から出資を受けて2015年に浜松新電力を立ち上げています。
今後、市内のメガソーラーから電力を購入予定で、同市のエネルギー政策課によれば、今後公共施設や企業に電力を販売予定とのことです。ほかにも、山形県や山梨県、岡山県、岩手県、千葉県などでも電力自由化による参入が決まっており、秋田県男鹿市や奈良県生駒市でも前向きに検討が進んでいるとか。
なお、東京ガスは電気とガスをセットにすることで安くなるプランを提供しています。
KDDIは毎月の電気使用量に合わせて5パーセント最大キャッシュバックする割引きを開始注目されました。
これらに対し、東京電力などの大手電力も黙っておらず、電気使用量が一定量超過すると割安になるというプランを打ち出しています。なお、サービスが行われるのは電力自由化の参入が激しい大都市圏が中心になりそうですが、どの自治体にもいずれ影響がでるでしょう。
しかし、新電力販売量が5位だった日本ロジテックが撤退したように、自治体のご当地電力が絶対に勝つとは限っていません。自治体は地方での信用度はかなり高いですが、これをあまりに過信しすぎて電力販売を続けて赤字を出してしまっては、電力自由化で新電力に参入した意味が無いと言ってもいいでしょう。
利益を出して企業として生き残ってこそ意味があると言えます。自治体が出資している第三セクター会社が無理に事業を展開し経営破綻してこれまで問題になりました。
このような失敗を二度と繰り返さないよう、電力自由化によって事業の採算性を慎重に判断する必要がありそうです。