電力自由化で電力会社の仕事はどうなる

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ブンヤ教授の電ニュース!:電力自由化における電力会社のお仕事

電力会社の仕事の中核をなすものが、この送配電部門と言えましょう。

電力自由化前までは大手電力会社は送配電の一貫体制でこれまでやって来ました。

しかし電力自由化でこのシステムも変わろうとしています。

全国の漁港で、あがった魚は、新鮮なうちに東京の築地市場に届けます。

こうした物流を可能にするのが全国を網羅する高速道路です。

電気の世界ではこの高速道路と同じような役割を果たすのが発電網です。

地方の発電所で生まれた電気を、消費地に輸送するのが「電気の動脈」と呼ばれている送電線です。

電力会社が敷設した発電所や変電所を通じて消費者につなぐ「線」が送電線です。

山岳地帯や、郊外で、送電線を張った巨大な鉄塔を多くの人は見ていると思います。

あのように渡した送電線は、100~200㎞と続いているのです。

そのスケールの大きさは、雄大と言えましょう。

電力自由化では発電だけでなくこの送配電も関わってきます。

最終的な電力自由化においてはこれらの送配電も自由になり分離が行われる予定です。

■電力会社が作る電気の3割を担うベース電源が原子力発電

資源の乏しい日本は、電力自由化前から原子力発電の導入と拡大に積極的に取り組んできました。

現在では、暮らしや、産業に使われる電気の約3割が原子力発電によって、供給されてきました。

しかし、原子力発電は、今回の東日本大震災福島第一原発事故に見られるように、一度事故やトラブルが起きますと、社会全体に与える影響は大きいものがあると言えましょう。

ベース電源として常に稼働される原子力発電が、計画外に停止すると、電力が足りなくなると言う現象が置きてしまう可能性もあります。

安全で安定した運転を続けられるよう、細心の注意を払いながら日々の仕事に取り組んでいかなければなりません。

電力自由化が行われたあとでも新電力がこの発電方法を採択していますから、安全確保は大事な仕事になります。

■原子力発電所は全国で50基以上

日本国内では、50基以上の原子力発電所があります。

それは全国的に配置されて入り、10大電力の中では沖縄を除く9電力会社が所有しています。

2016年の電力自由化が行われたあとでも発電に関しては大手電力が担っていくことになりますので大きくは変わりません。

原子炉のタイプは、大きく2つに分かれています。

加圧水型軽水炉(PWR)と沸騰水型軽水炉(BWR)です。

PWRは、原子炉から高温・高圧の水を蒸気発生器に送りそこで作った蒸気をタービンに送りこんで、発電するものです。

BWRは、原子炉で作った蒸気をそのまま、タービンに送りこんで発電するものです。

原子力発電は、放射性物質を閉じ込めるために、何重もの分厚い壁で囲まれる構だけに、そのことが逆に「密室」「閉鎖的」といった印象を人々に与えてしまうのです。

電力自由化ではこういった仕組みに対しても自分で選択していくことが可能になります。

■電力会社が作った電気を大量に送る送電が「送電部門」

電力会社における送電部門は、送電線の建設、保守を行っています。

高度成長期に作られた送電線の点検、修繕、交換といった保守の仕事がメインとなっています。

と言いますのはここ数年、電気の需要がそれほど増えていないため、送電線の建設は減少傾向にあるからです。

送電線でトラブルが起き停電すれば、多くの人に大変な迷惑がかかるため、まずはトラブルをゼロに近づけることに重点を置いています。

いざ起きたら、迅速な復旧に努めるため準備を怠りなく進めています。

最近の傾向としまして、都市部では送電線を見かけることが少なくなりました。

それは、地下に送電線を張り巡らしているからです。

■出夏を調整して電気を送り届ける「変電部門」

発電所で作られた電気が消費者に届く途中で「変電所」と呼ばれる施設を何箇所か通ります。

電気は電圧が高いと、送電ロスが、少ないので、発電所で作った電気を、できるだけ電圧を上げて送電し、家庭やオフィスなどの需要地の近くまで、持ってきたところで、電圧を下げ、配電線へと送ることになります。

この電圧の上げ下げを行っているのが変電所なのです。

変電所には、取り扱う電圧によって、50万Ⅴ変電所、超高圧変電所(27万5000v),一次変電所(15万4000v)、配電用変電所(6万6000v)等があります。

ここでは、変電所の運転・保守から建設の仕事を行っています。

電力自由化が行われた後も従来通りの管理がなされる予定です。

■電気を需要者に送り届ける「配電部門」

住宅や、マンション、賞典、ビルなどあらゆる顧客に電気を届ける部門です。

配電部門の仕事は、電柱や、電源の建設、・保守を行い、発電した電気を最終的に、顧客に送り届けることを目的としています。

仕事の内容としましては、電線や電柱を建設し、電気を顧客に、確実に届けることです。そしてこれらの設備を定期的に、巡回・点検し、異常があれば直ちに修繕をします。

こうした屋外の仕事に加え、制御室からその地域の配電網を制御して、電気の流れを最適に保つようにする仕事もあります。

電線や電柱などを総称して、「配電設備」と呼ばれています。

送電線と配電設備の違いを簡単に言いますと、送電線は、地方の発電所などで生まれた電気、高い電圧で一気に、消費地に送ることです。

発電設備は、送電線によって消費地に近い、配電用変電所に運ばれてきた電気を、エンドユーザーに送り届ける設備なのです。

この配電設備に事故やトラブルがあれば、それは直ちに、停電という形で顧客に大きな影響を与えます。

例えば台風時の飛来物による電線の切断、地震、落雷のトラブル、電柱に自動車が衝突などの事故等も考えられます。

これらは日ごろの巡回,点検などの怠りはなくても、防ぎきれない事態と言えましょう。配電部門は「電気の安定供給維持」という、強い使命感を持って、いち早く復旧に務める仕事なのです。

私がお届けしました!

ブンヤ教授
ライター/ニュース担当
電力自由化関連のニュース集めが得意

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