新電力のアンシラリーサービスとは?

TOP > 新電力 > 新電力の補助的サービスであるアンシラリーサービスとは?

新電力の補助的サービスであるアンシラリーサービスとは?

2016年4月には、一般家庭向けにも電力自由化が開始しました。

電力自由化が始まると、新電力会社(PPS:Power Producer and Supplier)が続々と電力業界へと参入。

その新電力に関連するサービスとしてアンシラリーサービスというものがあります。

聞きなれない単語ですが、いったいアンシラリーサービスとは何でしょうか?

これからアンシラリーサービスの全貌を解き明かしていきましょう。

まずは電力供給の仕組みを理解する

新電力に関連するアンシラリーサービスとは何かを理解する前に、電力供給の仕組みを理解する必要があります。

電力供給の仕組みが理解できれば、アンシラリーサービスについての理解がしやすくなります。

電力供給の仕組み

日本の電力供給の仕組みを見ていきましょう。

新電力会社などが電力を供給するには、まずは発電をして電気を作らなければいけません。

発電方法には、石油・石炭・液化天然ガスを利用する火力発電、ダムや水路を活用して発電する水力発電、ウランなどの核エネルギーを用いる原子力発電、風力・太陽光・地熱をはじめとする自然エネルギーを使って発電するものなどがあります。

次に作られた電気は、送電線を伝わり、変電所に送られます。変電所では超高圧変電所から一次変電所に、一次変電所から二次変電所に、二次変電所から配電用変電所にというように、段階的に変電が行われています。

発電によって生まれた電気は非常に高圧です。

そのため、各家庭に電気を送るためには、変電をする必要があります。

また、変電の他に、周波数の変換を行っている変電所もいくつか存在しています。

西日本と東日本では周波数が異なるため、周波数を変換しないと電化製品を使用する際などに問題が起こります。

変電や周波数の変換が行われた電気は、配電線を通って、各家庭に送られます。

各家庭に送られた電気を管理するのが大手電力会社や新電力になります。

消費者とやりとりを行いながら、料金を設定したり契約の手続きを行ったりします。

2016年4月に電力自由化になったのが、この小売部門です。

これが電力供給の概要です。

西日本と東日本ではなぜ周波数が異なる?

西日本と東日本では周波数が異なるため、電気の周波数を変換しないと使えません。

それはなぜでしょうか?

日本に発電機がもたらされたのは、明治時代のことです。

当時は関東地方がドイツ製の発電機を使用し、関西地方はアメリカ製の発電機を使用していました。

ドイツの発電機は50ヘルツ(Hz)で、アメリカの発電機は60ヘルツ(Hz)でした。

当時の流れを汲んだことにより、現在でも周波数が異なっています。

静岡県の富士川と新潟県の糸魚川のあたりを境に東西で違う電気が送られているようです。

境界付近には、周波数を変換するための施設があり、代表的なものとして新信濃発電所、佐久間周波数変換所が挙げられます。

アンシラリーサービスとは何でしょうか?

日本の電力供給の仕組みを理解した後は、いよいよ新電力に関連するサービスのアンシラリーサービスの説明に移ります。

アンシラリーとはどういう意味?

アンシラリーサービスのアンシラリーとは、英語のAncillaryを指します。

Ancillaryの意味は、「補助的な」「付属の」といったものです。

つまり、アンシラリーサービスとは電力を安心安全に使うための補助的なサービスのことを言います。

では、具体的にはどんなサービスがあるのでしょうか?

周波数制御

アンシラリーサービスの中には、周波数制御があります。

先ほど、東日本と西日本では周波数を変換しなければいけないという話をしましたが、今度はそれを一定に保つ必要が出てきます。

発電機から入出力をする際に、不均衡が生じると周波数が変動するため、そうならないようにする調整を行っています。

新電力をはじめとする各会社が安定した電力を供給するためには欠かせないサービスです。

電力インバランス

新電力会社に関連したサービスの1つに電力インバランスがあります。

新電力会社には30分計画値同時同量が定められており、計画した需用量と実際の需用量に差があったときは、送配電部門を担う電力会社と新電力会社が精算して補償します。

このように新電力会社にペナルティを課すことにより、サービスの質を向上させることに寄与しています。

瞬動予備力・運転予備力

瞬動予備力は、発電トラブルで周波数が低下した時に、急速に出力を上げて継続して発電可能なサービスです。

運転予備力は、発電トラブルが起こった時に、すぐに電力を供給するためのサービスです。

瞬動予備力や運転予備力を確保することで、安定感のある電力供給に繋げています。

まとめ

新電力に関係するサービスのアンシラリーサービス。

周波数制御や電力インバランス、瞬動予備力・運転予備力などのアンシラリーサービスを通じて、各家庭に安定的な電力を供給しています。

電力事業では、新電力会社による電気料金プランや提携サービスなどが目立っていますが、実は私たちがよく知らないところでは、こういった補助的なサービスが電力を支えていたのです。

新電力が登場してきたことにより、電力供給にまつわるさまざまな不安が嘆かれてきましたが、多角的な視点から電力についての理解を深めることで、知識の無さからくる不安を払拭できるでしょう。

今回紹介したアンシラリーサービス以外にも細かいサービスがあるようです。

興味がある方は調べてみるのも良いでしょう。

私がお届けしました!

専属ライター/実は機械音痴
「ライターたるものPCと仲良く出来ずにどうする!」と自分に言い聞かせながら仕事しています。
好きな家電→トースター

関連する他の記事

電力自由化で選べるおすすめの会社4選
話題の電力自由化。電力会社を自分で選べるようになりました。新電力会社からおすすめの会社を4社紹介し…
ブンヤ教授の電ニュース! :新電力(PPS)会社に連絡するだけで手続き完了?
電力自由化で、新しい電力会社に切り替えるときはスマートメーターは必須となります。このスマートメータ…
電力自由化後に注目が集まっているスマートグリッドってなに?
送電網について、スマートメーターを導入することにより電力の需要量を測ることが可能になるスマートグリ…
電力自由化に際して九州エリアのPPSを比較
電力自由化後に九州エリアに電力を供給するPPS(新電力会社)をガス系、エネルギー系にわけて、それぞれ…