海外において電力自由化はおすすめなのでしょうか

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ブンヤ教授の電ニュース!:海外では電力自由化がおすすめされている?

海外での電力自由化事情を見てみると、アメリカやヨーロッパではすでに20世紀末から電力自由化に踏み切っており、日本での電力自由化は少し遅れてスタートしました。

成功した国、失敗した国、それぞれ明暗が分かれており、いずれにしても今後、日本でも起こりうる事象を、欧米諸国が既に経験していることは間違いないでしょう。

日本で現在提供されているサービスもまだまだ発展途上のため、一番おすすめのプランはこのプランです、と決めることが出来ないのが現状です。

そこで、今後の日本がどう電力自由化を行っていくか見据えるために、諸外国がどのように変遷をたどって来たのか、検証してみましょう。

■電力自由化の成功例:イギリス

イギリスにおける自由化では、既存の大手企業が価格を操作出来るシステムが導入されています。

イギリスは他のヨーロッパ諸国より、先んじて、電力自由化に踏み切っており、1999年に規制緩和が行われて、電力の完全自由化を導入し、既に存在していた公的な電力会社を分社化し、それぞれ発電会社が3つ、送電害者が1つという形に変えました。

それぞれの会社の運営は民間に任せて、さらに新規参入企業を募って50近くの会社が新規参入することを認めたのです。

自由化が行われた当初、電気の価格は、年間3~5万円程度安くなったと言われています。

電力を半ば強制的に、卸売市場に集めて、販売しましたが、大手企業が価格を操作できたことにより、開始当初は、料金が高止まりし、一般家庭での恩恵は少なかったようです。

電力自由化成功の要因としては、価格よりも顧客のニーズに合わせたサービスに重点を置いたおすすめのプラン、自然エネルギーを中心に据えて、環境問題に感心のある方に向けておすすめしたいプランを打ち出したことなど様々な要因が挙げられます。

また多様なプランや好みの電力を選択できるようにしたことなどが、成功に拍車を掛けました。

こうした選択肢の多さや、ディスカウント方法に対して、政府がこまめに対策を講じたことが、成功の大きな要因となっています

イギリスにおいては新電力への乗り換えがおすすめというわけです。

■電力自由化で混乱がおきてしまったドイツ

ドイツではコスト増加などの影響で、料金上昇中となっています。

1998年電力自由化に踏み切ったのですが、現在までも混乱が続いています。

ドイツにおける自由化前の体制では、国が管轄している組織等による管理は行われておらず、8つの電力会社を中心として、規模の小さい電気事業者や地域エネルギー供給に特化した会社が供給を請け負っていました。

これが1998年の法改正で、全面自由化され、1000社を超える電力会社の乱立による競争で、電気料金が低下しました。

もちろん政府による介入もありましたが、ドイツでは規制の実効性が低く、既存事業者の高い託送料金設定が原因で、新規参入会社などの、合併、買収が相次ぎ、寡占化が進み、電力価格が上昇し始めました。

最近は環境税の引き上げや、再生可能エネルギー買い取りコストの増加で、さらに、電気料金が上昇しています。

ドイツにおいて新電力への乗り換えはあまりおすすめできないと言えるでしょう。

■アメリカの電力自由化は賛否両論

アメリカではあまりメリットが無かったようです。

1990年代後半から長い時間をかけて、各州で電力自由化を導入、市場原理に伴う競争激化が進み、新電力として、新規参入した企業は増加して、様々な顧客に対しておすすめプランなどを打ち出しましたが、成功しているとは言えない状況です。

カリフォルニア州の大停電でもわかるように、各州で停電が勃発しており、天候の影響や燃料の高騰により、電力会社が、十分な発電を行うことができなかったというのが大きな原因です。

さらに発電のためのコストが、直接消費者の電気料金に上乗せられることとなり、これまで以上に電気料金が高くなってしまったという事例もあります。

本来ならば自由化すると、小売価格が下がるはずなのですが、テキサス州では、電力自由化後価格が上昇していると言うのが現実です。

現在電力自由化後、電力需給が逼迫し、輪番停電が行われているようです。

アメリカでの自由化はおすすめできないという結論です。

■フランスは新規参入が少なかった

フランスにおける自由化で一番の問題は、自由化後も独占を続けている既存電力会社EDFの存在です。

フランスでは、電気事業の公益性が重視されているため電力自由化に対する積極的な取り組みは行われていません。

2000年に、EU電力指令が求める最低限の内容の自由化を開始していますが、1946年以来、国有企業として、発電・送電・配電を独占してきたEDF(フランス電力公社)が2004年に株式会社化され、政府がEDFの主本の70%を保有することが法で定められているのです。

フランスでは、EDFによる独占的な供給体制が続いています。

規制料金が低い水準で、維持されていることも新規参入を阻む要因ともなっているようです。

フランスでは乗り換えがおすすめかおすすめじゃないかというよりも、体制そのものが自由化に向かっていません。

■国営電気事業を20年目に分離した中国

中国の発電会社は、5大発電会社の他に、380社が存在しています。

これまで電気事業は国営でしたが、1997年国有企業の法人化、株式企業家の方針で、国有企業、国家電力公司として分利されました。

2002年に現在の電力体制から脱却し改革する提案がなされ、これにより、国家電力公司は、送配電事業を営む、国家電網公司と南方電網有限責任公司の2社と、発電事業を営む5大発電会社に分割しました。

これ以外の発電事業者としては、地方政府が、保有する発電会社、民間、外資など約3800社があります。

中国は、電力自由化も共産党主導で行っていますので、他国とは仕組みが大きく異なっています。

中国では、中央政府が定めた料金で、省ごとに、決まっているため、企業が独自料金を設定することは出来ません。

つまり、値段差はあまりないわけですから、中国での乗り換えもあまりおすすめできません。

■日本では是非おすすめしたい新電力利用

このように、海外での事例を見ると様々な理由から、成功と失敗を鑑みることができます。

日本では取り組みが遅すぎたと言われることもあるのですが、逆に言えば過去に学ぶことができるので、良い形で成功させる事ができるのではないでしょうか。

私がお届けしました!

ブンヤ教授
ライター/ニュース担当
電力自由化関連のニュース集めが得意

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