電力自由化後の新電力への移行率について解説
電力自由化が実施されたにより、各家庭にどのような影響がでるのでしょうか。
まず電力自由化後の変化を見ていきましょう。
その後、家庭に及ぼした影響について見ていきたいと思います。
新電力への移行率
2016年4月に家庭用電力が自由化されてから、5月13日の時点で全国の家庭の89万8300件が新電力への移行を行っています。
これは、全国の世帯数の1.4%に当たる移行率となっています。
これは大変低い割合となっていますが、これは予想通りのものです。
専門家や電力関係者の予想は、電力自由化後も引き続き以前から使っていた電力会社のものを使うというものでした。
なので、低い移行率は予想通りのものでした。
しかし、どうして新電力を利用する人はほとんどいないという予想がされたのでしょうか。
これには以下に述べる4つの理由があります。
日本に先駆けて電力自由化を行っていた外国の動向から予想したため
電力の自由化を実施したヨーロッパ諸国のどの国でも新電力への移行率は伸びることなく、旧電力会社を利用する人の割合が大きかったのです。
国民性
日本人の国民性として、周りに合わせることを重視するというものがあります。
したがって、電力自由化後も周りの動向を気にしてなかなか新電力へ移行する人がいないということになるのです。
高い料金のため
新電力会社は十分な発電設備を持っていないために料金を安くすることができません。
これにより、電力会社が供給する電力の料金は旧電力会社に比べてどうしても高くなってしまうのです。
したがって、多くの人は新電力へ移行するメリットがないのです。
電力会社の料金プランが複雑
新電力会社が提供する料金プランは、高い電力料金をお得に見えるように複雑になっています。
このため、料金プランへの不安が募り、新電力への移行率は伸び悩んでいるのです。
移行する人がいるのはなぜ?
では、なんのメリットもないように思える新電力へ移行する人が全国で1.4%もいるのはなぜでしょうか。
1.4%の移行率はほとんどが東京ガスなどのガス会社との契約となっています。
地方都市に比べて、東京や大阪などの大都市での新電力移行率は高くなっています。
大手ガス会社が新電力の契約に成功した理由
これは、大手ガス会社が公共料金であるガスと新電力をセット販売したことによります。
従来では、電力会社とガス会社から別々に請求がされていましたが、セット販売を行うことにより請求を一つにまとめることができたのです。
電力自由化後の今後の動向
日本に先駆けて電力自由化を実施した外国諸国では、電力自由化後に電気代が上昇しました。
したがって、日本においても今後電気料金の上昇が予想されます。
電力自由化後の電気料金上昇の理由
電力自由化後も電力市場の主導権は従来からの電力会社にあります。したがって、自社の利益を確実にするために電気料金の値上げが予想されるのです。
したがって、大手ガス会社や電力会社に市場を支配されるためにその他の電力会社は全て市場から撤退することが予想されます。
消費者としての不安
電力を利用する消費者として、新しくできた新電力会社では電力の安定した供給が行われないのではないかという不安があります。
最初に、基本的な知識として新電力へ切り替えた場合には送電線の張替は必要ないということです。
従来から利用してきた送電線を利用することになるので、設備面では不安を抱く必要はありません。
そこで問題になるのは電力の供給力ですが、国の審査を通過した電力会社であるので供給量に関する心配も必要ありません。
仮に新電力会社が供給量を維持できなくなったとしても、送配電事業者に集められた電力によってカバーされるので電力の安定供給は自由後も行われることになります。
発送電分離が実施された場合の問題
先ほど述べた通り、電力自由化後も配電設備は従来から利用してきたものを利用し、送配電事業者が管理していくことになります。
しかし、発送電分離が行われることになります。
日本では発送電分離が2018年~2020年の間に行われることになっており、今後は発電と送配電が別々の企業に行われることになるのです。
こうなると、企業間の競争が激しくなり、電気料金が安くなることが予想され、安定した供給も行われるようになると見られています。
しかし、これらはあくまで予想なのでこの通りになるかどうかはまだわかりません。
したがって、新電力へ移行する際には自分でリスクを考えた上で移行するようにしましょう。
まとめ
電力自由化後、まだまだ移行率は低いままとなっていますが、いずれは移行率が上昇することが予想されます。
その際には、新電力のメリット・デメリットを理解したうえで行うようにしましょう。