電力自由化が倒産したら

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ブンヤ教授の電ニュース!:電力自由化後に契約した新電力会社が倒産したらどうなる?

電力自由化で、新電力(PPS)の参入が相次ぎ、盛り上がっている電機小売業界ですが会社である以上倒産は免れません。

契約している企業)が倒産したらどうすればいいのでしょうか。

●新電力が倒産しても送電は停止しなく既存の電力会社がカバー

結論から先に言いますと、もし契約した会社が、倒産しても送電が停止することなく、もちろん停電も起きず、そのまま電気が使えます。

その理由としては、一般の家庭や、企業へ電気を販売していますのは、小売り電気事業者です。

そして各契約先まで、電気を送電しているのは、送配電網を管理しています「一般送配電事業者」つまり大手の既存の電力会社です。

この一般送配電事業者には、いずれの電機小売り事業者と契約が成立していない消費者に対して、最終的な電気の供給が義務付けられているのです。

■電力自由化で契約した新電力(PPS)が倒産したら電気はどうなるの?

電力自由化により、多くの新電力会社が電気事業に参入し、そうした会社が倒産し、契約した一般家庭には電気がこない、停電が起きると言った不安が多いのは確かです。

しかしこうした場合、契約した会社が倒産や、電力自由化事業から撤退したとしても、一般送配電事業者等呼ばれています、既存の地域大手の電力会社が、電気を供給してくれることになり、停電も心配することはありません。

しかし送配電業者との直接的な契約となりますので、契約していた会社よりも、電気代が高くつく場合もあります。

一般的に言えば、これまで契約していた料金メニューと、既存の大手電力会社との電気料金は、高くなると思わなければなりません。

そこで別の電力会社を選んで契約することも可能ですし、そのまま大手の電力会社との契約を持続しても構いません。

電気が使えないと言う心配はありませんが、契約した会社が倒産してしまうのは、正直言って面倒になることは確かです。

■2020年以降は、大手電力会社の救援措置はなし

政府が売り出した救済措置は、2020年までの経過措置となっています。

2020年以降は、地域の大手電力会社ではなく、送配電会社が消費者に、電気を供給するシステムとなっています。

ところがこの送配電会社は、小売りが専門ではありませんので、料金も高めになることが予想されます。

2020年以降、契約している新電力が、倒産してしまったら、すぐに新プランを探す必要に迫られます。

こうした意味でも2020年以降の契約は、新電力の経営状況にも目を配る必要がありそうです。

安定供給という面では幾分安心できますが、料金的には、現在と比べて高くなることが予測されます。

■電力自由化による2020年発送電分離の実施がどう影響するか

2020年と言えば、東京オリンピック・パラリンピックが開催される年でもあります。

この年から、電力を取り巻く環境が大きく変化しそうな気配を見せています。

それは、この年から「発送電分離」が実施されるからです。

発送電分離とは、その名の通り、「発電部門」と「送電部門」が切り離されることを言います。

この発送電分離は、電力自由化にとって避けて通れないシステムなのです。

これまで、部分自由化においても幾度となく検討されてきましたが、東京電力を始め、大手の電力会社が猛烈に反対してきた課題と言えましょう。

発電分野に関しては、電力自由化が進められ、新規の会社が参入してきましたが、送電部門は1社の独占状態なのです。

これは効率的で、安定した送配電のために取られた措置ですので、独占状態とはいえ、決して悪い状態とはいえません。

それぞれの電力会社が、独自に電柱を建て、街中に電線を張り巡らしているのです。

2020年以降、送配電会社が消費者に電気を供給する仕組みとなれば、当然消費者への影響は大きくなります。

■発送電分離による消費者への影響

2020年3月までは、地域電力会社が提供している現行の標準的料金メニューを継続することが義務付けられています。

電力自由化でそれがなくなるのです。

現行メニューを使い続けている人に向けて何らかのプランが用意されるはずですが、新たなプランを選択する必要が出てくる可能性も高くなってきます。

また契約した電力会社が、倒産した場合は、2020年以降は、送配電会社のメニューが適用され料金が高くなる可能性を秘めています。

そこで離島などに対する問題も残ることになります。

2020年以降は、契約した新電力が倒産したとしても、これまで以上に自己責任が求められることになりそうです。

そこで契約する新電力(PPS)を徹底的に分析し、ベターな選択が要求されることになります。

■新電力の選択は慎重に精査を

電力小売り全面自由化により多くの新電力が参入し、業界は盛り上がっているようですが、何しろ電気事業は初めてといった企業も数多くあり、そこには、大きな落とし穴があると言っても過言ではないでしょう。

ただ電気料金が他社より安い、サービスプランが良いからと言って、安易に乗っかる事はリスクが伴うことを認識する必要がありそうです。

ただブームに乗ろうと全く異種業種から参入し、利益が見込めないとすぐに撤退する企業も一部見受けられます。

政府も、新規参入企業を徹底的に精査し、認可を厳しくしているようです。

いずれにしても契約会社が倒産してしまうと、これからは、救済措置もなくなり、自己責任を求められるケースが増えてくることも考えられます。

業者選びは慎重にすることが益々重要となりましょう。

私がお届けしました!

ブンヤ教授
ライター/ニュース担当
電力自由化関連のニュース集めが得意

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