アメリカの電力自由化事情を失敗例と成功例交えて紹介

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アメリカの電力自由化事情、失敗例と成功例

日本では2016年4月に電力自由化が始まりました。じつはそれ以前から、諸外国では電力自由化を実施している例が数多くあります。

その中でも今回はアメリカの電力自由化事情について、失敗例や成功例を見ていきたいと思います。

アメリカが電力自由化に至った経緯

アメリカでは1990年代前半から電力自由化がすすめられ、1992年にエネルギー政策法が施行されました。

電力需要が増える一方だったため、サービスの競争を激化させて市場をさらに活性化しようという狙いがあったのです。

1997年のロードアイランド州を皮切りに、最大時で24の州とワシントンDCで施行されました。その後紆余曲折を経て、現在実施しているのは15の州とワシントンDCとなっています。

アメリカは日本と違って連邦国のため、電力自由化をとりいれた時期や方法も州によって異なりました。

その結果、自由化で失敗した州と成功した州にはっきりと明暗が分かれることとなったのです。

失敗例〜カリフォルニア州

カリフォルニア州では1998年に電力が全面自由化になりました。

しかし、2000年から2001年にかけておきた「カリフォルニア電力危機」の影響で、自由化はその後約10年間中断されることになったのです。

これは電力需要の高まりに電力の供給が追いつかなくなり、夏に停電が頻発したという事例です。いったいなぜこのようなことが起きたのでしょうか。

カリフォルニア電力危機はなぜ起きたのか

◎大手電力会社が発電を放棄

日本の場合、これまで発電・送電を担ってきた東京電力・東北電力といった地域の電力会社が、電力自由化も変わらずに同じ役割を果たしています。

たとえ新電力会社が電力を供給できなくなっても、これらの会社がセーフティネットとして存在しているため停電が起きる心配はありません。

ところがカリフォルニア州では、大手電力会社がその権利を放棄して売却してしまいました。そのため、新規参入した企業は1から発電所を建設しなければならなくなりました。

しかし実際には規制が厳しく建設コストが膨大だったため、他の州から電力を買うなどしてギリギリの状態で維持されていたのです。

◎電力コストの大幅な値上がり

また、カリフォルニア州が再生可能エネルギーの発電・利用を推進したことも一因でした。

これらはそもそも発電コストが高いため赤字となり、2000年の夏には発電業者からの卸売価格が例年の10倍、小売価格が2倍にまで高騰したのです。

◎それでも値上げをしなかったため停電に

州が定めた規制のために、電力会社は電気代を値上げすることができませんでした。

そのため電力を買う費用ばかりがかさんでいき、経営破たんする企業も出ました。

2000年の夏は猛暑で電力需要が高まっていた上、コストがかさむため発電業者も発電・送電を抑えようとした結果、電力が不足して停電を招いてしまったのです。

この1件でカリフォルニア州の経済状況は著しく悪化し、州知事が離職する事態にまで発展しました。

この出来事は、電力の市場価格化がうまくいかないまま進めてしまったひとつの事例として、世界に教訓を残しました。

その後、2010年には一般家庭をのぞいた小売自由化が再開されました。

現在ではふたたび再生可能エネルギーの導入と普及に力が入れられています。

成功例〜テキサス州

一方で、自由化に成功した例もあります。

2002年に電力自由化されたテキサス州は、アメリカで2番目に人口が多く電力消費量も多いことで知られています。

カリフォルニア州との違いはどこにあったのでしょうか。

テキサス州が成功した理由

◎新規参入事業者が多く価格競争が生まれた

テキサス州では、最初からすべての地域で電力が自由化されたわけではなく、全体の75%程度で実施されました。

それでも自由化された地域においては、新規事業者へ乗り換えた家庭の割合は50%以上、事業所などで70%と高い数字となりました。

電力消費量が多い地域ということは、それだけ電力が使われ、市場がまわるということです。

そのため新規参入する事業者が殺到し、価格競争が生まれる要因となりました。

◎発送電の分離

日本の東京電力など大手の地域電力会社の場合、発電・送電・小売りを独占して行っていました。

テキサス州ではこれを分離し、新規参入事業者とシェアすることにしました。これも価格競争を生んだ原因のひとつです。

◎大手電力会社の価格競争の禁止

さらに新規参入を促すため、既存の大手電力会社には価格競争が許されませんでした。

これも新規参入業者へと人が流れる要因となり、結果的に一時的には電気代は高騰したものの、現在は低下に転じつつあります。

新規参入業者が増えて競争が高まり、乗り換える割合も高かったので価格競争がうまくいったという事例です。

テキサス州の電力自由化の事例

州によっては電力自由化しても、家庭向けの新規参入事業所がほとんどない場合もあります。

これに対し、テキサス州では40以上の事業者が新規参入し、消費者は全部で200以上あるプランから選ぶことができます。

さらに、そのうち再生可能エネルギー100%のプランが60以上もあるというから驚きです。

日本では電力自由化後も、再生可能エネルギーが使われているのはまだごく一部ですので、将来への希望を持って見ていきたいところですね。

電力自由化の光と影

電力自由化の光と影のひとつの事例としてご紹介しました。

日本に先がけて電力自由化を実施したアメリカですが、州によっては電力自由化を行っていないこともあり、全体として見ると成功しているとは言い切れないかもしれません。

しかし実施した州の数だけ、良くも悪くも学べる部分があります。

日本でも今後の教訓として生かしてもらえればと思います。

私がお届けしました!

わかな
ライター/節電・節約大好き
半ば節電・節約が趣味の女性ライターです。「お家の電気」の話が得意です。

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