第5回:今後はどうなる?電力自由化の全容を解説【最終回】
電力自由化のこれからの展望について、簡単に見ていきましょう。
電力自由化のこれからの展望
今までは北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力だけでしたが、経済産業省の調査によると、2016年6月の時点で300社を超えているようです。
今後も登録事業者の数は増えていくでしょう。それに比例して電気料金プランやサービスの数も増えていきます。ますます、電力業界の競争が激しくなり、比較的価格が安くなったり、サービスの質が高くなっていくのではないでしょうか。
電力自由化が始まってから、契約先の電力会社を変更した人の数は、全体の数%ほどと言われています。電気料金の比較をしたり、他の電力会社を調べたりはしているものの、実際に変更する人の数が少ないのが現状です。
もちろん、契約を変更するメリットがない人もいれば、ある人もいます。
人それぞれ異なりますが、現在契約している会社と他の会社を比較して何かしらのメリットがある限りは、変えてみるのも良いのではないでしょうか。電力自由化後に浮かび上がってきた課題としては、電力自由化に伴うトラブルの改善が挙げられます。
新しい電力会社に切り替えようとしたのに切り替わっていなかったり、実際のプラン内容が会社のホームページに書かれていたものと異なっていたりなどのトラブルが国民生活センターや消費生活センターに届いているようです。
こういったトラブルを防いでいくことが、電力自由化の普及に繋がっていくことでしょう。
発送電分離も控えている
発送電分離とは、発電と送電を分離させることを言います。発電所で作られた電力は、送配電システムを使って各家庭に運ばれていきます。
現状の発送電は大手の電力会社が担っており、一貫して管理しています。この送配電システムを大手電力会社ではなく、別の会社が担っていくというのが、送配電分離の目的です。
これにより、今は大手の電力会社の送配電システムに頼っているPPSなどが公平に送配電システムを使えるようになります。電力ビジネスの拡大にも繋がるというメリットもあります。
しかし、送配電分離には、デメリットも隠されています。それはコスト効率が低下することです。送配電が分離されると、分離した分だけ余計なコストがかかってきます。
発電所と消費者の距離が開けば開くほど、送配電システムを整えなければならなくなってきます。こういったコストを抑えつつ、いかにスムーズに送配電を行えるかが今後のカギになるでしょう。
電気の安定供給ができるかということも意識しなければなりません。安定供給ができないために、電力不足になったり、いきなり停電したりなどなどの問題が起こるかもしれません。
消費者の安心安全の生活を守るためにも、課題克服は必須なのです。
2017年には都市ガス自由化の開始も予定されている
さらに2017年4月には都市ガス自由化も予定されております。(東京ガスが今これだけ電力自由化に意欲的な姿勢を示しているのは、来年始まるガス自由化によって顧客の流出してしまうことを見越して、電気事業で顧客増加して補填させたいからだという見方もあります)。
これによって現在電気事業に参入してきている異業種の企業の中には、持ち前の分野+電気+ガスのセット割を打ち出してくる可能性も多いに有り得ます。
特に携帯電話業界などはすぐさま参入してくるだろうと見られています。
電気もガスも生活に欠かせないインフラであるからこそ少しでも自分の生活や環境に適したものを選べるというのはありがたいですが、インフラであるこそ価格最優先主義に走ってしまうのは危険であると見る専門家もいます。
特に諸外国と比べても日本のインフラ整備は安定感が高いということで有名ですので、安定供給が最低条件であるという軸からぶれていないかどうか見極める目を私達も持ちましょう。
まとめ
電力自由化についてわかっているようでわかっていなかったこともたくさんあったと思いますがどうだったでしょうか。
まだ完全には整っていない電力自由化ですが、数年後には大きく変っていくことでしょう。電力自由化にはさまざまな問題がつきものです。現に海外では比較的大きな失敗も起こっています。
日本が現在直面している課題を解決しつつ、大きな問題なく進んでいけたら良いですね。
私たち消費者は、電気料金、サービス、環境問題と電力事業に関わるさまざまな事柄に目を光らせながら、見守っていきましょう。電力自由化のこれからに期待していきたいですね。