電力自由化の経済的・社会的メリット
電力自由化の目的である競争のメリットには、具体的はどのようなものがあるのでしょう。
電力市場における”効率的な資源配分”であり、新電力(PPS)の市場参加により、そこに既存の電力会社との「競争原理」が働き、電気料金の価格が下がります。
このメリットが政府の狙いとしてあることが確かでしょう。
電力自由化の経済的価値
そこは法定料金とは異なり、自由市場では、需給によって価格が変動するため、ピーク需要時の料金が大幅に高騰する可能性を秘めていると言えるでしょう。
これは需要者にとってマイナス要因かもしれませんが、結果的に過剰な発電設備が削減されるメリットもあります。
電力自由化の目的
電力自由化の目的は、高止まりしている電気料金を安くすることが第一の目的です。独占化では競合他社が存在しないため、電力会社は高い料金を提示しても顧客が逃げることはありません。また政府の価格統制は「総括原価方式」であるため、コスト削減のインセンティブに乏しいと言えるでしょう。
一方競争下では、発電事業者設備投資の効率性や必要性を徹底的に吟味し、少しでも安い燃料を仕入れ、販売管理費などを切り詰めます。そうすることで、自社の利益の確保と、存続につながることになるのです。
こういった無駄な供給設備は廃棄され、過剰品質は削り取られ、供給は、需要に適切に釣り合うこととなります。
業種によってはピーク需要、ピーク価格の時間帯にどうしても大量の電気を使わなければならない企業もあるでしょう。いずれにしても平均的な電気料金は提言することになります。
電力自由化の社会的メリット
電力自由化とは、ただ単に1つの市場に新電力(PPS)が増えて、競争が起こるだけでなく、地域独占として分断されていた、複数の市場が統合されて、全体が大きくなることを意味します。
市場が大きくなれば、需要と供給を一致させることが容易になり、効率的な配分が実現します。
それは、不要な供給設備が廃棄されて、電気料金の供給コストが下がることを意味します。災害や事故、あるいは定期点検によって、運転を停止しても、その影響は相対的に小さくなるため、需給調整が容易になり、停電が起こりにくくなります。
これは同時同量の原則が働く、電力システムにおいてきわめて意味のあるメリットになるでしょう。
安定供給というメリット
安定供給というメリットは、大きな市場の方が再生可能エネルギーを導入しやすくなると言うことです。これはすでに、再生可能エネルギーが多く導入されている地域に対して、あまり導入されてない地域を統合して市場を拡大することにより、不安定な再生可能エネルギーの導入割合が全体として下がり、導入可能量は増える、と言う結果をもたらします。
北海道で、もっと風力発電を導入して東京へ送電したらよい、と言う主張がこれに当ります。
また2つの地域の再生可能エネルギーの導入量が同じだとしても、両者を統合することにより、導入可能割合自体が増えることになります。
再生可能エネルギーを、これ以上導入する余裕のない地域同士を噛みあわせても、導入可能量は増えないと言う考えもありますが、一つ一つの風力発電が不安定でも、発電量は異なります。
地域が変わればさらに多様になるでしょう。
電気の産直を目指す北海道生協
生協が目指す電気の産直です。
生協系新電力会社の特徴として、産直や、共同購入であり再生可能エネルギーを中心とした事業です。
これまで再生可能エネルギーによる、電気を事業所や物流センターなどに供給する取り組みを進めてきました。
生活クラブ生協、パルシステム東京、日本生協連等は、今後販売先を組合員の家庭に広げていく予定を立てています。
北海道・コープさっぽろ系の「トドック電力」は、再生可能エネルギーの電気を組み合わせて、北海道電力より安い家庭向け、料金メニューを既に発表しました。
農協協同組合では、エーコープサービスを通じて、町内農家からバイオマス発電の電気を買い、JA事務所からAコープ店舗に供給する事業を行っています。
地産地消を目指す地域電力会社
自治体の新電力会社の先鞭をつけたのが、群馬県中之条の「中之条電力」です。 町内のメガソーラ―発電所からの電気を、町役場や学校などの公共施設に販売、今後水力発電やバイオマス発電にも拡大して行こうとしています。こうした動きは、急速に全国の地方に広まりつつあるのは確かです。
電力自由化が生み出した一つの改革と言えそうです。
この中之条電力発足を機に、多くの地域の地産地消を目的にした新しい電力会社を生み、地方の活性化につなげていったのも、電力自由化のメリットの一つと言えましょう。