原発の廃炉負担は誰がする?新電力にしたらどうなる??
今話題になっている原発の廃炉費問題ってご存知ですが?東日本大震災で被災した福島第一原発の原子炉を始め、老朽化した原子炉の廃炉費用を誰が負担するかという問題です。「え?作った人が責任もって廃炉にすればいいんじゃないの?」って思いますよね。でもそれがそうもいかないようです。最終的には電気料金を払っている私たちが負担することに。さらにそれは新電力へ切り替えても変わらないようです。
今回はそんな原発の廃炉費の問題について追究したいと思います。
原発の廃炉費負担問題とは?
■原発の廃炉問題って何?
1963年、日本初の原子力発電が茨城県北部にある東海村で行われて以来、日本では全国で24の原子力発電所が建設されました。しかし、2010年に営業運転期間が40年となった福井県の敦賀発電所1号機を始め、長期運転する発電所が増加し、老朽化が問題となり始めました。
ただ、原子炉を廃止して建物を解体するには放射性廃棄物の処理や被ばくの問題など多くの問題があり、また二酸化炭素排出削減のため火力に代わる電力として原子力が必要との議論から、延命方針が打ち出されていました。
その1か月後に起こったのは、東日本大震災…。
福島第一原子力発電所は地震と津波による影響でメルトダウンという重大な事故を起こし、1~6号機すべての原子炉が廃止となりました。また事故後に打ち出された新基準によって、
・敦賀原発1号機(福井県)
・美浜原発1・2号機(福井県)
・玄海原発1号機(佐賀県)
・島根原発1号機(島根県)
・伊方原発1号機(愛媛県)
の6つの原子炉の廃止も決定されました。
他の原子力発電所でも点検などで全ての原子炉が停止され、その後再稼働しているのは川内原発1・2号機(鹿児島県)、伊方原発3号機(愛媛県)の3機のみとなっています。
■建設より費用がかかる廃炉処理
原子炉を廃炉にするには、使用済核燃料の持ち出しや廃棄処理や作業員の被ばく問題など、未だ解決されていない問題が山済みです。2016年現在、日本で廃炉が完了した原子炉はありません。すべての問題をクリアして廃炉・解体するには、建設費の何倍にもなる莫大な費用や時間がかかると言われています。
今、この費用を誰が負担するかという議論が政府などで行われ、問題となっています。
新電力でも廃炉費用は消費者が負担しなきゃいけないの?
ただし、既に廃炉が決定した6機と、今後大手電力会社が自主的に廃炉を決定する原子炉については、大手電力会社、新電力会社双方で負担することとしました。理由は、電力自由化以前に大手電力会社から原子力発電による恩恵を受けていたからとなっています。まとめると、
(大手電力会社・新電力会社双方)
・既に廃炉が決まった6機(敦賀1、美浜1・2、玄海1、島根1、伊方1)
・現在停止中→廃炉となる原子炉
(大手電力会社のみ)
・福島の事故原子炉
・現在稼働中または今後再稼働→廃炉となる原子炉
ということになります。
大手電力会社の負担分は消費者の電気料金に上乗せされます。新電力の分は新電力が大手電力会社の送電網を使うための利用料に上乗せされますが、新電力会社の分は新電力を利用する消費者の利用料へ上乗せされると考えられるため、実質どちらも消費者が負担することになります。
つまり消費者目線で見ると、
東京電力なら
(福島の原子炉)+(今後再稼働→廃止となる原子炉)+(現在停止中→廃止となる原子炉)
の廃炉費用を負担することとなり、
新電力なら
(現在停止中→廃止となる原子炉)
のみとなります。
ちなみに関西にお住まいなら、
関西電力なら
(敦賀1・美浜1・2)+(今後再稼働→廃止となる原子炉)+(現在停止中→廃止となる原子炉)
の廃炉費用を負担することになり、
新電力なら
(敦賀1・美浜1・2)+(現在停止中→廃止となる原子炉)
となります。
※あくまで2016年10月25日現在の経産省方針なので今後の施策や方針によっては変わる可能性があります。
まとめ
しかし、これは今までのこと。今、電力の小売りは自由化され、未来については消費者に選ぶ権利を与えられました。電気料金やサービス内容も大切ですが、原子力発電を賛成するのか反対するのか、あなたの意志によって電力会社を選択することもできます。
その他、新電力には再生可能エネルギーを多く調達する会社などもあり、日本の未来のため、地球のために新電力を選択することもできます。志高いあなたのその意志を無駄にすることなく、十分慎重に考えて電力会社を選択してくださいね。