電力自由化後に注目が集まっているスマートグリッドってなに?
電力自由化が始まり、電気をめぐる様々な試みや問題点などが注目されるようになりました。
私たち消費者にとっては、電力会社が一から選べるようになって、自分で節約のための工夫をすることができるようになったのが一番大きな変化と言えます。
しかし、私たち個人にまつわる変化だけでなく、電力自由化は、より大きな意味での電気を巡る変革を起こしています。
その一つは、「スマートグリッド」という試みです。
スマートグリッドとは「スマート(賢い)」「グリッド(送電網)」という意味で、発電所から私たちの家庭に電気が届けられるまでの仕組みについて、より賢い方法が今、考え出されているのです。アメリカのオバマ政権が推進していることや、日本でも電力自由化が始まって注目されるようになりました。
この試みは発電の仕方についても関わってくるので、必然的に地球環境にも関係してきますので、私たちにとってもまったく無関係ということではないのです。
では、そのスマートグリッドとはどのようなものなのかについて詳しくご説明いたします。
スマートグリッドとは
それではまず、そもそもスマートグリッドとはどのような考え方なのか。見ていこうと思います。
スマートグリッドの考え方
そもそも、スマートグリッドとはどのような考え方かというと、それは「電気の供給量を需要によって調整しよう」という考え方です。
現在の送電網の仕組みは、常に電気使用量のピークに合わせて送電できる仕組みになっています。
使用量のピークとは、例えば真夏の休日のお昼頃、皆さんが家にいて、クーラーなどを絶対使っているような、そんな時間帯です。
しかしもちろん、常にそんなにたくさん電気を必要としているわけではありません。多くの人が外出する、平日の昼間などは電気の使用量が少なくなります。
そうすると、常にピーク時を想定した送電をしていると、無駄が多いということになってしまいます。
スマートグリッドの仕組み
電力自由化が始まった現在も、それ以前と変わらず発電所と私たちの家は送電線でつながっており、電気の供給を受け取ることができるわけですが、こちらから発電所になにか情報を送るということは、当然ながらできません。
そこで、私たちの家庭や商店、工場といった電気を使用する側から、「今、これだけ電気を使っていますよ」という情報を送信することができれば発電所側もそれに合わせた発電をすれば良いわけで、今のような無駄の多い発電は行わなくて良いということになります。
そしてそれこそが、スマートグリッドの仕組みそのものなのです。
具体的には、現在多くの家庭や商店、工場などの電気を使用する側に取り付けられているアナログの電気の計測器を、「スマートメーター」というデジタルのものに付け替え、そのスマートメーターを利用して電気使用量の情報をやりとりするという仕組みが考えられています。
スマートメーターとは
スマートメーターとは、今までのアナログの電気計測器に代わり、デジタルで使用量を計測し、なおかつその結果をネットワーク送信できる装置のことを言います。
実はスマートメーターへの切り替えは電力自由化後、順次始まっており、新電力会社へ切り替えた方はすぐに、そして切り替えを行っていない方も2023年から2024年頃をめどに、切り替えが進められることとなっています。
スマートグリッドのメリットとは
スマートグリッドを導入することで様々なメリットが発生します。
電力自由化を機に、是非導入が進んで欲しい仕組みのひとつです。
ピークシフトの実現
ピークシフトとは、電気使用量がピークに達する時に備えて、費用が少なくて済む夜間などに発電を行い、蓄電池に電気を貯めておく考え方です。
ピークシフトにより、より効率的に発電が行えるため、地球環境に優しく、そして電気の料金も下がる可能性があるのです。
人件費の削減
アナログの計測器の場合、毎月人員による電機メーターのチェックが必要でしたが、スマートメーターが導入されることで、ネットワークによる確認が可能となり、その分の人件費が削減できます。このことにより、さらなるサービスの充実なども期待できるかもしれません。
また、私たち消費者もスマートメーターの導入によりリアルタイムで電気使用量を把握できるようになるのも大きなメリットかもしれませんね。
まとめ
電力自由化が始まり、電気にまつわる社会の動きが活発化してきました。
その中の一つが「スマートグリッド」です。スマートグリッドの導入により、今よりも進化した送電網が構築され、効率的な発電が可能となり、地球環境にも好影響を及ぼす可能性があります。
また、私たち消費者もその恩恵にあずかることができる可能性があるので、無視できない社会の動向の一つと言えるでしょう。
しかし、スマードグリッドの導入には課題なども多く、その際たるものとしては設備のコストがかかることが挙げられます。
アメリカでは、オバマ政権がスマードグリットを導入するために多額の予算を導入していますが、日本ではまだそれほど大掛かりな動きは見られません。
電力自由化で新電力会社が様々な新しい電気料金プランを発表して話題になっていますが、私たち全員に関係があるスマードグリッドの話題にも是非注目してみていただきたいと思います。