電力自由化を前に東京電力が組織改編を行いました

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ブンヤ教授の電ニュース!:電力自由化を見据えて東京電力が大幅な組織改変組織

電力自由化を迎え、大幅な組織改革に踏み切った東京電力はどこに向かっていくのでしょう。将来の発送電分離の布石でしょうか。成り行きに注目してきましょう。

●送配電事業を切り離し別会社にする「法的分離」を義務付け

今回の電力全面自由化により、既存会社の持つ、「発電事業」「送配電事業」「小売り電気事業」の内、送配電事業を将来的に切り離し、「法的分離」が義務付けられました。

これによって独立性を確保し、既存電力会社以外の発電事業者や小売電気事業者が、自由に、送配電網を利用できるようにするためです。

小売り電気事業者は、顧客から電気料金を回収し、この中から発電事業者に、発電料金を支払うとともに、送配電事業者に、「託送料金」支払うことになります。

この電力自由化の「法的分離」は2020年までに完了することになっています。

届け出制の発電事業と小売り電気事業は、一定の条件を充たせば、参入は自由で、既存電力会社と同等の立場で競争できるようになりました。

こうした実情を見据えて、既存の電力会社の最大手、東京電力は大幅な組織改編を行ったのです。

■電力自由化を見据え大幅な組織改編へ

福島第一原発事故以来、政府の公的資金投入もあり、自立再生の道が敷かれました。

東京電力は、2015年4月から、経営中堅をコーポレートする社内カンパニー制度を導入しました。

さらに、電力自由化がスタートした2016年4月以降には、燃料及び、火力発電事業を東京電力フュエル&パワー、送配電事業を東京電力パワーグリッド、小売電気事業を東京電力エナジーパートナーとして分社化し、持ち株会社・東京電力ホールディングスの下におきました。

これにより、送配電部門が、期限の2020年を待たずに、「法的分離」が適用されて切り離されることになりました。

こうした傾向は、既存の電力会社大手の「関西電力」にも見られ、電力自由化の影響を受け。将来の分社化を見据えて、「国際」「小売り」「火力発電」「水力発電」原子力発電」「送配電」の6事業部制に移行しています。

■東京電力今後の展開について

電力事業で、地域独占的な営業が保証され、年間の売り上げは、5兆円を有に超える日本最大の会社です。この巨大企業が電力自由化に今翻弄されています。

公益事業であり、民間企業であり、原発を所有するため、扱う秘密も数多くあります。

そうした事業を使い分けながら日本の中で、独特の力を持つ超巨大な企業に育ってきました。

それが3.11後の事故調査や、会社の財務調査で明らかになってきました。

東京電力がどういう経営をしてきたのか、多くの実態が明るみに出たのは周知のとおりです。

そして新たな展開に乗り出しました。

東京電力の今後の展開のポイントとなるのが、一つは、東日本福島第一原発事故による被災者への賠償や除染、二つ目には福島第一原子力の廃炉などの費用がどこまで膨らむか、その時の政府の判断がどう出るかによって、今後の動向が大きく変わって来るでしょう。

現時点で予想されるのは、持ち株会社による分社化を経て、親会社が、膨大な負債によって、経営の自由度がなくなることになり、発電会社と小売会社が、負債にとらわれないで、どこまで事業展開して行けるかにより大きく変わってくることになりそうです。

■東京電力組織改編後それぞれの役割

持ち株会社

原子力事故の賠償や、除染、廃炉を含む、原子力事業、及びグループ全体のマネジメントを担います。

収入の見込めない膨大な原子力事業を抱えており、経営の弱さは、分社化前より大きなものとなりそうです。

発電会社

火力による発電事業を展開することになりますが、新たな発電所を建設するための十分な資金調達が難しくなりそうです。

中部電力など他社との連携や、シェールガスなど安価な燃料の調達が、今後の戦略の柱となります。

そして各発電所がコストを下げないと、市場に電力を供給できず、不良資産になる可能性を秘めています。

送電会社

電力網の安定した維持管理、及びその為の投資を行う部門です。

また配電部門では、スマートメーターの導入も行い、そのデータ管理は新たな中立で、地域独占の事業となります。

小売り会社

新たな需要の拡大、ガス事業、供給区域以外の事業で、売上を拡大して行く部門です。

しかし採集顧客に対する営業力は乏しく、電力小売りの窓口となる会社との連携が必要不可欠となるでしょう。

■東京電力概要

首都圏を営業エリアに抱える日本最大の電力会社です。

フランスの国営電力会社EDFには及びませんが、販売電力量、従業員数などは世界有数の規模を誇っています。

電力自由化を始め、電力業界の行方に関わる問題では、常に他の電力会社を代表して国との論議に臨んできました。

販売電力量は、288,956百万KWh、連結売上高58,876億円、単体売上高56,434億円と世界でもトップクラスの規模と、スケールを誇っています。

発電設備は、水力160ヵ所898.6万kw、火力25ヵ所3.768.6万kw、原子力3ヵ所1,730.8万kw、その他1ヵ所0.05万kwで合計190ヵ所6,398.1万kwとなっています。

供給地域は、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県、東京都、神奈川県と山梨県、静岡県の富士川より、東側の地域となっております。

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