東京ガスもクリーンエネルギーに注力!
省エネ・低炭素社会の実現に向けて規模拡大が望まれているクリーンエネルギー。
電力会社各社でもさまざまな取り組みが行われています。
今回はガス会社ながら電力事業にも新規参入した、東京ガスの取り組みについてまとめました。
■東京ガスのクリーンエネルギーへの取り組み
新電力事業者の中では最大規模の発電所保有数を誇り、ガス事業と電気事業の2本の柱で安定的な電力供給を目指しています。
東京ガスのクリーンエネルギーへの取り組みについて見ていきましょう。
●天然ガス火力発電の拡大
東京ガスでは競争力のある天然ガス火力発電を中心にしながら、クリーンエネルギー電源の拡充に向けた取り組みを進めています。
具体的には川崎天然ガス発電所の増設・運転の開始や、神戸製鋼真岡発電所からの電力の購入などです。
既存の都市ガス供給網やノウハウを活用した、効率的な運用が可能であることが最大の強みとなっています。
2020年までに300〜500万kWhの発電事業規模を目標にしています。
東京ガス管内の4つの発電所では、いずれも最新鋭のガスタービンコンバインドサイクルを利用して電力を供給しています。
これは同じ量の燃料でより多く発電することができるシステムのことで、発電効率が高まることによりCO2の排出削減に貢献できます。
●風力発電事業
風力発電は近年コストの低下が進んでおり、クリーンエネルギーの要として期待が高まっています。
東京ガス管内の風力発電事業には、袖ヶ浦発電所と庄内風力発電所があります。
さらにくろしお風力発電から電気を購入するなどして、2020年度には15万kWhの電源規模の確保が目標です。
●太陽エネルギーの活用
東京ガスでは、太陽光・太陽熱・バイオマス発電などの再生可能エネルギーを活用したサービスへの取り組みを進めています。
中でも、再生可能エネルギーを組み合わせて利用する技術の実用化に力を入れています。
例えば家庭内で太陽光発電とエネファームなどのマイホーム発電を組み合わせた利用や、太陽熱と給湯器を組み合わせたSOLAMOの提案などです。
太陽光は出力の変動が大きな課題ですが、そのバックアップ機能を整えたシステムとして省エネに大きな効果をもたらします。
業務用の場合はSOLAMOに加えて、太陽熱を空調に利用するソーラークーリングシステムの導入や、給湯設備をまかなう技術の開発も進められています。
●バイオマスの利用
バイオマスエネルギーもCO2排出削減に貢献できるエネルギーのひとつです。
家畜ふん尿や下水汚泥などの有機無機物であるバイオマスを燃料とし、都市ガスと混焼してのエネルギー利用や、発生したバイオガスをさらに高い品質にする技術開発が進められています。
●新しい資源の開発
未来のエネルギーと言われるメタンハイドレードは、氷のような見た目をしていて火をつけると燃えるため「燃える氷」とも呼ばれています。
永久凍土や深海に多く存在し、推定資源量は国内のガス埋蔵量の10倍以上と考えられています。
もし実用化すれば、大きな資源の供給源となることは間違いありません。国とも連携しながら開発が進められています。
■東京ガスが目指す「スマート化」とは?
これには地域のスマート化、暮らしのスマート化、オフィスビルや工場のスマート化の3つがありますので順番に見ていきましょう。
●地域のスマート化
まずは地域内で電力、熱、ガスをネットワーク化して効率よく利用する試みです。
熱源から電力と熱を生産して供給するコージェネレーションシステムを使い、燃料電池に太陽光発電などのクリーンエネルギーを組み合わせて活用することをスマートエネルギーネットワークといいます。
地域全体に電力を安定供給できるだけでなく、再生可能エネルギーや余った電力を振り分けて活用できるため無駄がありません。
都市部の再開発や東北の復興支援に役立つことが期待されています。
●暮らしのスマート化
東京ガスでは、クリーンエネルギーである天然ガスから電気を作り出すエネファームを利用した暮らしのスマート化を推進しています。
これはコージェネレーションシステムを家庭に取り入れたもので、家庭用燃料電池のエネファームや、太陽熱利用ガス温水システムSOLAMOを組み合わせ、家庭内の電気利用を最適にコントロールするものです。
発電時に発生する熱を給湯に利用することでエネルギーの無駄を減らすことができ、スマートメーターやHEMSの導入によって、家庭内でも発電した電力量や消費電力量の見える化が実現します。
さらに蓄電池の活用で、災害や停電時にも普段通り電気やガスが使えるような仕組み作りを進めています。
●オフィスビル・工場のスマート化
BEMSやスマートメーターの活用により、オフィスビルや工場でも電気の見える化が進められています。
太陽光発電や太陽熱・ガス空調システムなどの設備機器を、常に最適な状態で自動運転する仕組みを作ることで、省エネに貢献できるのです。
■大規模なネットワークを生かした今後の取り組みに期待
既存のサービスを組み合わせてシステム化することで、無駄なくスマート化を目指すという独自の取り組みが、今後のクリーンエネルギーの普及・拡大につながっていくでしょう。