電力自由化によるネガワット取引

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2017年4月、電力自由化に伴うネガワット取引がスタート!

電力自由化が進み、電力の売買が活発になると、発電した電力だけではなく、節電した電力も取引の対象になります。2017年4月から始まる「ネガワット取引」です。企業や家庭などで節電した電力量に対して報酬が支払われるのです。

2017年4月、ネガワット取引がスタート!

2016年4月、本格的な電力自由化が始まりました。もっとも大きなものは、電気の小売部門に新規事業者が自由に参入できる「小売全面自由化」。すでに新規の小売電気事業者と契約を締結した人もいるのではないでしょうか。

小売全面自由化に続く、電力自由化のもう1つの画期的な取り組みが、電力の「ネガワット取引」です。これまで単なる好意的な協力であった「節電」を有償のビジネスに転換させ、節電量に対して報酬が支払われるものです。

資源エネルギー庁は、2017年4月より電力自由化の一環として電力のネガワット取引制度を本格的に導入し、国全体として効率的な節電の仕組みを構築する方針を決定しました。

「ネガワット」って、なに?

ネガワットって聞いたことがない言葉ですが、「negative(負の・マイナスの)」+「watt(電力)」の造語で、「マイナスの消費電力」という意味。家庭などで電力を節約した結果、余った電力をその家庭が発電したものと考えるわけです。電力を発電する「発電所」と対比させて、節電した家庭を「節電所」とも呼ばれています。

「ネガワット取引」とは、電力自由化に伴い企業や家庭などで節電した電力量に応じて報酬が支払われる仕組みのことです。実際には、「アグリゲーター」と呼ばれる仲介事業者が間に立って、小売電気事業者の要請に応じて企業や家庭などの消費者に対して節電を依頼する契約を締結することになります。電力自由化により参入した小売電気事業者にとっては、電力の調達方法の1つとしてネガワット取引を利用できるわけです。

これまでも節電対策は行われてきたはずでは?

これまでも電力不足が生じるおそれがある地域では、電力会社が企業や家庭に電力消費の抑制を求める「ディマンドレスポンス(Demand Response)」が実施されたことがあります。節電に協力したお礼に電気料金を割り引いてくれるタイプや(インセンティブ型)、「時間帯別料金」や「ピーク時料金」など、電力需要のピーク時の料金を割高して電力の消費を抑制する手法(電気料金型)がとられてきました。しかし最近は、企業や家庭の節電対策が進んだために供給量が不足することはなくなり、ディマンドレスポンスの必要性も薄れてきたといわれています。

といっても、真夏や真冬の電力需要のピーク時でも余裕があるわけでありません。発電設備を増設するには莫大な設備投資が必要です。電力自由化により節電をビジネスに転換することで、節電量の大幅な増加が期待でき、小売電気事業者が不足する電力をネガワット取引によって調達できるようにしたのです。電力自由化に伴うネガワット取引は、小売電気事業者と消費者の双方にメリットがある制度だといえます。

節電量はどうやって算出するの?

ネガワット取引で最も難しく重要なことは、取引の対象となる節電量の算出方法です。

個々の消費者が通常の状態で使用する電力量を時間帯ごとに「ベースライン」として設定し、ベースラインの電力量と節電後の電力量の差が、節電量になります。しかしベースラインを適切に設定することは簡単ではありません。過多に設定すれば、節電量が実態よりも多くなり、過少だと節電量が少なくなり、取引ができなくなるからです。

そこで資源エネルギー庁が採用した方法はHigh 4 of 5という方法。直近5日間のうち需要の多い4日間の平均値をベースラインに採用するものです。ただし土曜・日曜・祝日が含まれる場合は、それらを除外します。

実際にネガワット取引をするには、どうするの?

それでは、実際にネガワット取引をする手順を見てみましょう。

(1)小売電気事業者が、需要状況の予測に基づいてアグリゲーター(仲介事業者)に節電を要請します。

(2)アグリゲーターは、要請された節電量を区分けして、契約している消費者ごとに削減量を設定し、節電を依頼します。

(3)依頼を受けた消費者は、ガイドラインに従ってベースラインを設定したあと、要請された削減量を確保できるように節電を実施します。

(4)節電が目標通りに達成されれば、節電量に応じて報酬が消費者に支払われます。

万一消費者が節電に努めたにもかかわらず、目標通りに達せず、許容範囲も下回った場合は、消費者やアグリゲーターに何らかのペナルティが課せられる可能性があります。

節電量は、30分単位に計測してアグリゲーターに報告しなければなりません。そのため消費者はスマートメーターを設置する必要があります。スマートメーターとは、通信機能が付加された新しい電気メーター。電力の使用量を遠隔で検針、30分ごとの使用量を計測することができます。スマートメーターへの交換は、原則として無償で費用がかかりません。取引の最小単位は100KW(キロワット)ですが、30分ごとの電力量に換算すると50KWになります。

ネガワット取引をやってみませんか?

2017年4月より一般家庭でも、電力自由化によるネガワット取引ができるようになります。節電することでお金がもらえ、節約と収入が同時に実現できて一挙両得なネガワット取引。あなたもチャレンジしてみてはどうです?

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あんず
ライター/壁面緑化でメロン育てて食べたい
節電・節約の鬼と呼ばれて幾星霜、最近はエコにも興味あり

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