第4回:電力自由化と環境について|電力自由化の全容を解説【全5回】

TOP > 電力自由化 > 第4回:電力自由化と環境問題|電力自由化の全容を解説【全5回】

第4回:電力自由化と環境問題|電力自由化の全容を解説【全5回】

電力自由化は、電気料金を安くしたり、様々なサービスが使えるようになったりしただけではなく、環境問題への取り組みの1つにもなります。

電力自由化と環境問題の関係についてこれから見ていきましょう。

地球温暖化について

電力と環境問題は切っても切れない関係です。

環境問題の1つに地球温暖化があります。

地球の表面は窒素や酸素をはじめとする大気で覆われており、大気の中には地球の温度を上げる温室効果ガスが含まれています。

温室効果ガスがなければ、地球の平均気温はマイナス18度になると言われています。マイナス18度の世界では、人間が生きていくには厳しいですよね。

温室効果ガスは地球にとっても大切な要素なのです。

しかし、温室ガスが必要以上に増えてしまうと、今度は地球の気温が上がり続けてしまいます。

地球の平均気温は100年と比較すると0.6度ほど上昇しており、今後はもっと上昇することが予想されています。

電力をつくるには発電しなければなりません。

さまざまな発電方法の中でも発電時に温室効果ガスに含まれる二酸化炭素を発するものがあります。

それが火力発電です。火力発電では、石油・石炭や液化天然ガス(LNG)を燃やして水を熱します。

そのときにできた高温高圧の蒸気を使ってタービンを回して、発電機を一緒に回し電力を作ります。

火力発電は、他の発電方法と比較しても発電効率が良く、燃料の量を調整することで発電量を調整するなどメリットもありますが、どうしても二酸化炭素を発してしまうという問題点があります。

火力電力は日本の電力の6割から7割ほどの発電を担っているため、なくそうにもなくせないので現状です。

ではどうすれば良いのか。

それは、火力発電の中でも二酸化炭素の排出量を抑える方法を採択したり、別の発電方法で発電したりすることです。

火力発電に用いられる石炭と石油よりも液化天然ガスの方が二酸化炭素の排出量が少なく、環境に優しいとされています。

石炭と液化天然ガスの二酸化炭素の排出量を比較すると、液化天然ガスの方が約6割ほど排出量が少ないです。

窒素酸化物(NOx)の排出量も少なく、硫黄酸化物(SOx)は排出しないのでクリーンなエネルギーです。

その他の環境問題について

地球温暖化について見てきましたが、地球温暖化だけではなく、他にも電力に関連する環境問題がいくつかあります。

石油や石炭、液化天然ガスは中東諸国を始めとする地域に埋蔵されています。

現時点では膨大な量が埋蔵していると言われていますが、資源は有限なのです。

使えばなくなってしまいます。限りある資源をどのように使っていくかが大切です。

また、化石燃料は窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)を排出します。

窒素酸化物や硫黄酸化物は酸性雨の原因になります。

酸性雨は木を枯らしてしまったり、石像や建築物を腐食させてしまったりといったことを引き起こします。

原子力発電は二酸化炭素を排出しない発電方法の1つですが、2011年3月の東日本大震災以降は、そのあり方が見直されつつあります。

原子力発電では、ウランなどの核燃料を用いて熱エネルギーを発生させ、蒸気でタービンを回して発電します。

蒸気でタービンを回して発電するのは、火力発電のときと同様ですね。

大震災の時に発電でできた放射性物質が外に放出され、環境汚染に繋がりました。

原子力発電は、二酸化炭素を比較的排出しないという地球に優しい面を持っているものの、その裏には危険性も潜んでいます。

電力自由化と環境問題について

電力会社の中には、火力電力をあまり使わないで発電している会社も少なくありません。

太陽光発電地熱発電、風力発電、水力発電などは二酸化炭素の排出量が非常に少ないことで知られています。

太陽光発電などの発電方法を積極的に用いている電力会社を契約すると、地球温暖化の防止にも繋がります。

電力自由化により電力会社を自由に選択できるようになった今だからこそ、環境に優しい電力を供給している会社を選んでいくべきなのではないでしょうか。

環境に優しい電力を提供している会社を見ると、電力の内訳のところに「FIT電気」と書かれていることが多いです。

FIT電気とは何なのでしょうか。

FIT電気とは、固定価格買取制度(FIT制度)にもとづいて買い取られた太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーを使って発電された電気のことを言います。

固定価格買取制度(FIT制度)とは、2012年7月にスタートした国が定めた固定の価格で買い取るように電気事業者に義務付けた制度のことです。

再生可能エネルギーは石炭をはじめとする化石燃料に比べて、コストが高い傾向にあります。

再生可能エネルギーによる発電の導入を促進するために、電力会社が固定の価格で一定期間買い取るようにしているというわけです。

ドイツやスペインなどの諸外国では、日本よりも早くこのFIT制度が進められてきました。FIT電気を選ぶと、再生可能エネルギーを応援することに直結するため、環境への意識が高い方はそういった電力会社の選び方をするのも良いのではないでしょうか。

私たちにできること

環境問題について電気の側面から何か取り組めることはないのかと思っている方もいるのではないでしょうか。もちろん、いくつかの方法があります。

まずは、先ほど見てきたように、環境に優しい電力を使っている会社を選ぶことです。

比較的FIT電気の割合が大きい会社を選ぶようにするだけで、環境問題を解決するための一助となります。

比較的簡単にできる方法としては、節電が挙げられます。

電気の使用量が多い夏と冬に節電に取り組むと良いでしょう。

一人ひとりの使用量が多いと、それだけ電力が必要になることになります。

電力が必要になると、その分発電をすることになります。

発電をすると、二酸化炭素を排出したり、環境破壊に繋がったりといったことに繋がります。

夏と冬はエアコンの温度を下げすぎず上げすぎないようにしたり、ずっとつけたままにするのを控えたりしましょう。

節電できるのは一人では微々たる量かもしれませんが、積み重なれば大きくなります。

皆で一緒に取り組めれば良いですね。

また、節電は電気料金を安くすることにも繋がるので一石二鳥です。

電気料金は使用量によって決まるので、使用量を抑えることがポイントです。

さらに電気料金を節約したい方は、電力自由化によって可能になった、小売自由化を有効活用しましょう。

夏と冬の電気料金が安いプランを提供する会社や日中の電力量単価が低い会社のプランを選択すると良さそうです。

2016.09.29
全5回連載の最終回です!電力自由化について、電気料金のことから環境問題に至るまで、さまざまな視点から解説してみました。今回は電力自由化の今後と発送電分離やガス自由化のことにも触れています。

私がお届けしました!

専属ライター/実は機械音痴
「ライターたるものPCと仲良く出来ずにどうする!」と自分に言い聞かせながら仕事しています。
好きな家電→トースター

関連する他の記事

家電の電気量料金を計算するために必要な基礎知識
家電の電気量料金を計算する時に必要な基礎知識を紹介します。各家電を動かす場合にはどれくらいの電気料…
電力自由化後にお得なオール電化プラン【東京電力地域】
電力自由化後、地域のオール電化プランは料金プランが変更になりました。東京電力地域のオール電化の家庭…
アパート住民が電力自由化で乗り換えする際の段取り3つ
アパート住民が電力自由化で新しく電力会社と契約する際に、トラブル無くスムーズに変更するための段取り…
電力自由化の革命児となるか!ワタミの新電力がおすすめな理由2つ
飲食業界大手のワタミ株式会社が完全子会社のワタミファーム&エナジー株式会社を通じて電気小売に参入し…